【社説】野放図に膨らんだ概算要求 正す道筋を示す責任は高市政権に2026年8月31日 19時20分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●政府の2027年度当初予算案の概算要求で、一般会計の総額は140兆円前後になりそうだ●要求の上限がない投資枠を新設した。目的に合わない政策がないか、精査が必要だ●金利上昇や円安が続くなか、歳出と歳入のバランスある予算の道筋を描かなければ、無責任な積極財政となる
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予算は国がめざす経済の姿を示す。政策を優先付けし、税金を無駄なく、有効に使うことが政府の役割だ。 だが、高市早苗政権がまとめる2027年度当初予算案は、編成の起点となる各省庁の概算要求で、一般会計で前年度を大きく上回る140兆円前後と膨らみそうだ。額が示されない「事項要求」も目立ち、実際はさらに多くなると見込まれる。要求が野放図になれば、今後の査定や国会審議で切り込み不足に陥らないか。歳出の大幅拡大が前提の財政運営は、経済の土台を揺るがすリスクを高める。 政権は、27年度を「責任ある積極財政元年」と位置づけ、予算編成のあり方を抜本的に見直すとした。大型の補正予算への依存から「脱却」し、当初予算の重視を各省庁に指示。経済成長のための「強く豊かな日本」投資枠も新設し、首相も財務相も要求額の「シーリング(天井)」は「もはやない」とした。青天井の「投資枠」に殺到 成長関連の要求が拡大した。半導体やエネルギー分野を増やした経済産業省の要求総額は、26年度当初と25年度補正の合算を2兆円以上も上回る。目的に合わぬ政策が紛れていないか精査が必要だ。 事項要求は、防衛費で少なくとも160項目にのぼる。年末までに予定する安全保障関連3文書の改定で、防衛費の増額を打ち出す方針が背景にある。少子高齢化で伸びが続く社会保障費や、自然災害への対策など、生活に直結する予算の要求も増える。 来春から実施予定の食品消費税の減税には、年約5兆円かかる。政府の借金である国債の利払い費は金利の上昇が響き、前年度から3.5兆円増の16.5兆円を見込む。財源確保の動きは鈍く 歳出拡大路線が鮮明になる一方、既存予算を削りこむなど、財源を主体的に確保しようという動きは鈍い。政権はインフレなどによる税収増や税外収入を当てにするが、恒久財源とは言えない。企業などへの特例的な減税や優遇制度の見直しも進んでいない。 国債の発行額は、当初と補正を合わせた近年の平均と同程度の40兆円程度に抑える方針とみられる。だが、補正はコロナ禍以降に急増した。補正分を単に上乗せするだけでは、脱却と言えない。 政府の投資を、成長に結びつけるのは簡単ではない。政権の積極財政への金融市場の懸念も一因となり、金利上昇や円安が続く。米国も波及を恐れ、懸念を伝えたり、協調して為替介入したりした。予算編成に楽な道はない。歳出と歳入のバランスある予算の道筋を描かなければ、無責任な積極財政となる。「天井」なき予算要求は歴史的転換点 識者は警鐘「歯止めなくなる」「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






