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東京・三田の慶応義塾大学に創業89年を迎える学食がある。元プロ野球選手の高橋由伸さんらも利用した歴史ある店だが、コロナ禍では廃業の危機に陥った。救ったのは「絶対になくさない」と熱い気持ちを寄せた卒業生たちだった。 山食は1937年の創業とされる。三田キャンパスは高台にあるため「三田山上の食堂」から「山上食堂」になり、「山食(やましょく)」と略されるようになったそうだ。 70年以上コックとして腕をふるってきたのが谷村忠雄さん(86)だ。創業者夫妻の後を継ぎ、90年から2024年まで社長を務めた。 谷村さんは中学を卒業した1955年、集団就職でコック見習として山食に入り、住み込みで朝から晩まで働いた。仕事がきつくて同期6人はみんなやめたそうだ。「中学のときラジオで早慶戦を聞いていて、慶応のファンだったんです。だから、ここで働けるのはうれしかったですね」 「塾生にとっての第2の家庭」を目指してすべて手作りにこだわり、家庭の味を保ってきた。肉は塊から調理し、魚も生で仕入れる。一番人気のカレーも、ルーは手作りだ。 一番の思い出は、毎年夏の50日間ほど山梨県の山中湖にある体育会の合宿所で働いたこと。ラグビー部やサッカー部の部員らと寝食を共にして、朝昼夕の食事を作る。入社した年から49年間続けた。「土日も関係ありませんでした。若いからできたのでしょうね」と笑う。当時の体育会の人たちとは、今も交流があるそうだ。 慶大出身で元プロ野球選手の高橋由伸さんも学生時代は山食を利用していた。現役を引退し巨人の監督に就任する際は、山食で慰労会兼激励会が開かれたという。 学生たちには「自分の家と同じだから、何でも好きなことを言っていいよ」と伝えてきた。従業員の給料を払えず借金も「50円しかないけど大盛りの…この記事は有料記事です。残り1249文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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この記事を書いた人佐藤陽文化部be編集部専門・関心分野終末期医療、看取り、メンタルヘルス関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする