【社説】外国人の永住、突然高くなる壁 望みを砕く変更は悪手だ2026年8月29日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●出入国在留管理庁は、外国人の永住許可審査の指針を厳格化する改定案を発表した●日本人の平均年収を上回ることなどを求めており、永住希望者の意欲を砕く内容だ●乱暴に壁を高くするのではなく、外国人との共生に必要な施策の拡充が欠かせない
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かけがえのない人生を送る地として日本を選び、永住をめざしている外国人の望みや意欲を打ち砕くような改定だ。人道上も看過できない。 出入国在留管理庁は、外国人の永住許可審査で用いる指針の改定案を発表した。年収が日本人の平均を上回ることのほか、将来受け取れる年金額が、平均収入の日本人が厚生年金に30年間加入した場合の水準に達していることなどを、要件に加えた。 入管難民法は永住資格の要件を、①素行が善良②独立の生計を営める資産か技能がある③日本の国益にかなう――と定める。 従来の指針は収入について「日常生活で公共の負担にならず、将来、安定した生活が見込まれる」としてきた。明確な基準は非公表だが、単身者なら年収300万円が目安とされる。国税庁の統計では日本人の平均給与は478万円(2024年)で、大幅な引き上げとなる。外国人が多い製造や建設、農林水産、介護などの分野は賃金水準は低く、年金要件と合わせれば、門戸を極めて狭める内容だ。 行政の裁量で法律の条文をはるかに上回る要件を課す点にも、大きな問題がある。厳格化を進める理由とは 気がかりなのは、永住者による生活保護受給を厳格化の理由にしていることだ。確かに将来にわたり安定した生活基盤が見込まれるかの確認は必要だ。ただ政府のサンプル調査では永住者の生活保護の受給率は1.96%で、日本全体の1.62%と大きな開きがあるとまでは言いがたい。そもそも政府は在留資格別の受給データを網羅的に把握しておらず、調査対象は永住者の7%に過ぎない。 また、収入要件は申請済みの人にも遡及(そきゅう)して適用する見通しだ。当事者にとって不意打ちで、理不尽ではないか。 昨年末の在留外国人は過去最多の約412万人で、資格別では永住者が約94万人で最も多い。取得すれば資格の更新は不要で、職業も自由に選べる。住宅ローンを組みやすくなるなど社会的信用もある立場を得ることは、日本で長く暮らしたいと望む外国人の大きな目標となってきた。 現政権は「排外主義とは一線を画す」と繰り返しつつ、在留手数料の大幅引き上げなど、外国人排除のメッセージに映る政策が続く。 国内の日本人人口は1億2千万人を割り、少子高齢化が進む。外国人との共生は職場や地域で欠かせない。乱暴に壁を高くするのではなく、日本語やルールを学ぶ機会の提供や子どもの教育支援などを国の責任できめ細かく拡充することが何より重要だ。永住外国人の「生活保護」回避狙った政府 許可要件の厳格化案を発表「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません









