元厚労官僚のバー店主が三茶から熊本支援 「行政も酒場も同じ」編集委員・矢崎慶一印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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東京・三軒茶屋(三茶)の住宅街に近い一角に、小さなバーがある。店内に並ぶのは熊本県の米焼酎「球磨焼酎」。カウンター越しに客と語り合う店主は、かつて熊本市の副市長を務め、厚生労働省で公衆衛生行政に携わり、10年前の熊本地震では熊本での対応に関わった。行政の第一線を退いた後、なぜ酒場を開いたのか。話を聞くと、そこには30年以上温め続けた夢と、故郷、熊本への思いがあった。熊本地震から約1カ月。東京から支援を続けている。 店主は、熊本県出身の福島靖正さん(67)。もともとは厚労省の医系技官だ。一般的にはなじみが薄いが、医師または歯科医師免許を持ち、国の医療制度を考えたり、公衆衛生の仕組みをつくったりする「キャリア」の専門職だ。 熊本市の副市長を務めた福島さんは、その後も厚労省の要職を経て、最後は2020~23年に医務技監を務めた。医務技監とは医系技官のトップで、事務次官と並ぶ「次官級」ポスト。つまり、のぼりつめたのだ。 そして、23年に退官すると、その年にバーのマスターになった。それだけの経歴を持ちながら、なぜ?10年前、杉田官房副長官から指示が 7月28日午後、自宅にいた福島さんは、スマートフォンに出てくる通知などで熊本地震を知った。「最大震度7」。すぐにテレビをつけてニュースに目を移した。 「きたか……」 今回の地震は、16年の地震後、次は危ないと警戒されてきた断層が震源となった。それだけに福島さんも、警戒は続けなければいけないのだろうと思ってはいたが、「ちょっと早いな」という感覚だった。 10年前の熊本地震の時、厚労省の健康局長だった福島さんは熊本に向かった。 「杉田(和博)官房副長官(当時)から、熊本に縁のある人を中心に人を出すように、といった指示があって、各省の局長級が行きました」 衛生面から避難所が備えるべき要件は何か、トイレの問題や段ボールベッド、更衣室や授乳室の設置など、さまざまなやるべきことが見えた。 「熊本県で、10年という非常に短いスパンでまた大きな震災が起こったことは、非常に残念なことです。ただ、10年前の震災対応の経験を持っている行政の人たちがたくさん残っている」 すでに引退した福島さんが、行政の最前線で被災者対策などに関わることはないが、すぐに側面支援に動き出した。 東京・銀座にある熊本県のアンテナショップ「銀座熊本館」で入店者の誘導係をしたり、義援金を入れてくれた人にお礼を言ったり。熊本県人会主催で、チャリティーコンサートなどのイベントを開いたり、義援金集めに動いたり。 「熊本のものを買ってもらうことも大事です。経済を回すことも支援ですから」 東京・三茶の酒場からできることがあるという。新宿ゴールデン街で感じた楽しさ 厚労省の医務技監から街場の…この記事は有料記事です。残り1794文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






