2026年8月27日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●米国の制裁対象になった国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が記者会見し、「法の支配の危機」を訴えた●法の支配を外交の柱とする日本には、ICCを守る具体的な行動が求められる●9月訪米が想定される高市首相の国連演説や日米首脳会談での対応が問われる
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「法の支配」を外交の柱に掲げる日本が、国際社会で戦争犯罪などを裁く「最後の砦(とりで)」を守り抜くために何ができるのか。具体的な行動が問われる正念場である。 国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が、トランプ米政権によって制裁対象に指定されてから初めて、公の場で見解を明らかにした。 ICC本部のあるオランダ・ハーグから、日本記者クラブ主催の会見にオンラインで臨んだ赤根氏は、ICCは国際犯罪の被害者にとって「最後の希望」で、制裁は「法の支配の危機」であると訴えた。「ICCは決して負けない。正義は常にこれと対極にあるものに優越しなければならないとの信念を貫く」とも語った。 高市早苗首相は制裁発表直後の19日は、「大変残念」と短く語るだけだったが、25日になって「日本の立場と相いれない。大変深刻に受け止めている」と述べた。 首相は当初の対応について、「弱腰との批判は当たらない」と反論したが、欧州を中心に、国際社会でICCへの支持や連帯の声が広がり、国内でも「人権外交」を掲げる超党派の議員連盟などから抗議や制裁の撤回を求める意見が出たことで、表現を強めたのが実情ではないか。 首相は赤根氏を制裁対象にしないよう米国に働きかけてきたと強調したが、結果的に阻止できなかった事実は重い。制裁されても金融取引などに困らないよう赤根氏に助言してきたとも述べたが、赤根氏に対する支援にとどまらず、ICC全体をどう守るかという観点が不可欠だ。 赤根氏は会見で、日本政府への期待として、米国の圧力で加盟国が脱退するのを食い止めることと、ICCへの制裁がさらに拡大しないよう米国に働きかけることの2点をあげた。この要請を正面から受け止め、最大限の外交努力を尽くす必要がある。 確かに、日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸であり、経済面でも米国との良好な関係は重要だ。だが、法の支配が脅かされる現実を放置するなら、大国による「力の支配」を黙認することになりかねない。力による現状変更を批判してきた日本の主張の信頼性も損なわれよう。 9月にはニューヨークで国連総会が始まり、首相の訪米が想定される。一般討論演説で何を語るのか。トランプ氏との首脳会談が行われた場合、ICCの意義や重要性を伝え、翻意を促せるのか。これまでトランプ氏との親密な関係づくりを優先してきた首相の姿勢が問われる。米制裁下のICC赤根所長「正義の信念貫く」 強気の陰で「号泣」も「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません













