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耐震工事のために3月末に寮生が退去した京都大の吉田寮。その後「建て替え」の方針を発表した大学側は、7月には教員や学生向けのアンケートをとり始めました。築113年の建物の今後を危惧する卒業生や教員が中心となって立ち上げた「市民の会」は、寮の文化財登録を目指して署名活動を始めました。「歴史的価値を再発見してほしい」と訴えます。(朝日新聞withnews・川村さくら)「京大最古の建築物」も吉田寮に吉田寮は1913(大正2)年に建てられました。建設の際には、1889(明治22)年に建てられた、京大の前身「第三高等中学校」(のちに「第三高等学校」に改称)の学生寄宿舎の木材も再利用されました。現棟の一部や食堂はそのままの形で移築されたもので、京大において最古の建造物だと考えられています。現棟、食堂、2015年建築の新棟の三つから構成される吉田寮は、学生たちの営みの舞台になってきました。2019年に京大が提訴、2025年和解老朽化した現棟について補修を求める寮側に対し、大学は2019年に一部寮生を相手取り、退去を求めて提訴しました。訴訟は京都地裁は寮生側の一部勝訴となり、2025年、大阪高裁において和解が成立。被告だった寮生たちは、耐震工事のために現棟から一時退去し、工事完了後に戻ることになりました。新棟の寮生たちは変わらず暮らし続けています。学会も保存要望、「国の重要文化財級」現棟については、2015年に建築史学会や日本建築学会近畿支部が保存を求める要望書を大学に提出していました。提出時に建築史学会の学会長だった中川理・京都工芸繊維大名誉教授は今春、朝日新聞の取材にこう答えていました。「あれだけの規模(東西約94メートル、南北約53メートル)で学生寮を作ったことは大変なことだし、しかも1913(大正2)年の建設。ほかの帝国大学も寮を持っていたわけですが、今ではほとんど残っていない。大正初期の木造の西洋建築というだけで、国の重要文化財級の価値がありそうです」建て替え方針発表、アンケート開始しかし大学は一時退去完了後の4月、「吉田寮現棟建替え・建替えにより創出される敷地活用方針」を発表。「建て替え」の言葉に寮側は「唐突で一方的」と反発しましたが、大学は意に介さず、7月下旬からは学生や教職員向けに学内システム上でアンケートを開始しました。アンケートの内容を京大に聞くと、「報道各社への公開・共有につきましては、現段階では対応いたしかねる」との回答でした。理由は「構成員本来の率直かつ純粋な意向を正確に集約したい」「外部からの影響を受けることにより、主体的な意見の提出や、大学としての意思決定における中立性が損なわれることがないよう」としています。 建て替えは「敷地の一部で行う」アンケートの内容を市民の会や吉田寮とは無関係の大学関係者に取材しました。寮の建て替えについては「約7500平方メートルの敷地の一部で行い、残る空間は教育・研究環境や福利厚生の充実に資する形で有効活用する方針」と記されていました。また、アンケートの設問には「整備すると良い機能・設備」「(新しい学生寄宿舎の)設備・環境面で特に重視すべき点」や具体的なアイデアなど全5問が尋ねられていました。末尾には留意事項としてアンケートの内容をSNSやブログ、掲示板など外部へ転載・公開することを「固く禁止する」とする文章もありました。合言葉「吉田寮は文化財」大学のこうした動きの中で立ち上がったのが「吉田寮の建築文化財登録をめざす市民の会」です。現棟や食堂の建築としての価値を理解し、文化財登録して改修整備するよう大学に呼びかけるため署名を集めています。署名と合わせて大学へ提出するという請願書には三つの要望が並んでいます。「吉田寮現棟について、すみやかに耐震補強と補修工事を行い、建物の劣化を防いで下さい」「歴史的価値の高い旧棟(現棟と食堂棟)の建築を『登録有形文化財』に登録し、保全・活用計画をたてて下さい」「現棟は建築構造や建材を生かしながら改修し、『生きた建築遺産』として未来に継承することを求めます」「東大が赤門をつぶすでしょうか」市民の会の呼びかけ人のひとりで、請願書をとりまとめた理学部准教授の清水以知子さんは、京大理学部を卒業後、大学院から東京大で過ごしたのち、2018年に教員として京大に戻ってきました。「ずっと京大にいる人からすると、吉田寮は『あって当たり前』かもしれないけど、一度出ていった人間からすると、『まだある』って安心できるものなんです。鴨川や大文字山と並んで、卒業生が思い出すもののひとつだと思います」清水さんは現状について「ブルドーザーがもうすぐそこまで来ているような感覚」だといいます。「いつ取り壊されるか分からないという危機感があります。壊されてからでは遅いので、建物の重要性を認識してもらうよう呼びかけたいです」「吉田寮は京大のシンボルである時計台よりも古くからあります。それを壊すとしたら、それは出自を壊すのと同じです。例えば、東大が赤門や三四郎池をつぶすでしょうか」吉田寮の価値を「再発見」してほしい市民の会の事務局を務める、吉田寮の卒寮生で、現在は近畿大教授の冨岡勝さんはこう懸念します。「建て替えにあたり、大学は『歴史的経緯に配慮する』と言っていますが、では価値ある建物をどう大切にするのか、何ら言及していません」「かつて東大にも自治寮である駒場寮がありましたが、その価値についての議論が深まらないまま2001年に閉じられ、解体されてしまいました。未来へと吉田寮が守られるためには、価値が『再発見』されることが欠かせません。吉田寮が再発見されるべきは今です」【吉田寮の建築文化財登録をめざす市民の会】https://konoe.localinfo.jp/【署名フォーム】https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdoWy6iubGADyYw5ggIyoIUW20OlNi6KSYDfaC9wp_Vz1c_Fg/viewformニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel






