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初めての生理が来ないので病院を受診したら、自分の体に「精巣」があることが分かった――。性器や、卵巣や精巣のような「性腺」などが典型的な女性・男性の形態とは違う「性分化疾患」という先天的な疾患があります。当事者は「世の中にほとんど知られていない」といい、専門的に診療する医師たちも「診断されないまま困っている患者さんが多いのではないか」と指摘します。(朝日新聞withnews・川村さくら)幼少期からあった「出っ張り」1981年に北関東で生まれ、女性として育った「せり」さんは、高校生の頃に「性分化疾患」だとわかりました。幼少期から、自分の外性器のそばに球体の出っ張りがあることに気づいていました。「何か変だな」と思っていたし、親も気づいていましたが、せりさんの体に不調はなく、特に病院に相談することはないまま成長していきました。性染色体「XY」、見つかった精巣しかし、いまだに初経(生理)が来ないのをおかしいと感じ、高校1年生の頃、病院へ行きました。三つの婦人科を受診して回っても、医師たちは「よく分からない」と首をかしげるだけでした。紹介された地元の国立大病院の泌尿器科で検査を受けたところ、せりさんの性染色体は一般的に男性に多い「XY」だったことがわかりました。さらにMRI検査をすると、「出っ張り」の正体は精巣だったことが分かりました。せりさんの体には二つの精巣があり、一方は男性同様に体からはみ出していて、もう一方は体の中に隠れていました。医師は医学書を片手に「この症例は初めて見ました」と話していました。診断名は「性分化疾患」でした。そのままだと精巣が体内でがんに変わってしまう可能性があり、25歳の時に取り除く手術を受けました。当事者団体「三毛の庭」はドラマ協力も疾患に対して家族は関心を持ってくれませんでした。せりさんは自分の体について知るため、医学書を買い集めたり、インターネットで情報を探したりしました。やがて当事者団体「三毛の庭」を見つけました。会員限定の掲示板で当事者同士で会話し、たまにあったオフ会では顔を合わせることもできました。グループでは、2011年に地上波でドラマ化された六花チヨさんのマンガ「IS(アイエス)~男でも女でもない性~」(講談社)の取材協力もしました。しかし2014年、事実上解散しました。せりさんのいまの目標は現在、せりさんは体調を安定させるために毎日女性ホルモンを服用しています。3カ月に1回の診察と半年に1回の血液検査を受けていますが、特に不調はないといいます。そんなせりさんには目標があります。「性分化疾患はいまだに世の中にはほとんど知られていません。性分化疾患について伝える情報サイトを作ったり、三毛の庭のような団体を立ち上げて当事者同士で集まれる場所を作ったりしたいと思っています」心の性と同じく、体の性も多様「性分化疾患」(Differences of Sex Development)とは、どのようなものなのでしょうか。慶応大病院の「性分化疾患(DSD)センター」の専門家にも話を聞きました。小児科の教授・鳴海覚志(さとし)さんは、「性分化疾患とは、染色体・性腺・内性器・外性器のいずれかが大部分の男性や女性と異なり、非典型的である先天的状態を指します」と話します。性染色体をもとに性腺(卵巣・精巣)、内性器(子宮や前立腺など)、外性器が形づくられる「性分化」の過程の違いによって起こる疾患であるため、「性分化疾患」と呼ばれます。クエスチョニングやノンバイナリーなどが「心の性(性自認)の多様性」を示すのに対し、性分化疾患は「身体的な性の多様性」を示す医学上の疾患です。両者は異なる概念で、性分化疾患のある人の性自認はさまざまだといいます。センターでは、性分化疾患が確定している場合には性別違和・不合についても対応しているそうです。患者は「5千人に1人」程度ひとことで性分化疾患と言っても、実際に見られる症状は多様です。精巣がない、尿道口が下にずれている、陰茎が曲がっている、陰核が肥大化している、左右の大陰唇が癒合している……など、程度も人それぞれだといいます。鳴海さんは、「性別決定に悩むほどの症状がある性分化疾患の患者は、およそ5千人に1人程度」だといいます。症状が軽ければ、疾患に気づかないまま生きている人も多いだろうとのことです。過去には、五輪でメダルを獲得した選手が、検査で性分化疾患だと分かったと報じられ、その後の大会への出場の可否が議論された事例もありました。慶応大病院では1990年代から性分化疾患の診療にあたる医療機関としては、全国に日本小児内分泌学会が定めた中核施設が24、準中核施設が43あります。さらに特化した医療機関として、国立成育医療研究センターの性分化・ジェンダーセンター、そして慶応大病院の性分化疾患センターがあります。慶応大病院の性分化疾患センター長で、泌尿器科の准教授・浅沼宏さんによると、慶応大病院では1990年代から性分化疾患の診療が行われていたといいます。そして、小児科、小児外科、泌尿器科、産婦人科、形成外科など院内の診療科が横断的に連携して診療できる体制が整い、2019年には全国で初めてとなる性分化疾患センターが開設されました。現在では、年間延べ2千人以上の患者の診療にあたり、200件以上の手術を行っています。なかには、外性器の見た目で性別が判断できない新生児もいるそうです。その場合は、性別判定に必要な検査を行い、保護者と相談しながら法律上の性別を決めると言います。性腺や内・外性器だけではなく、消化管にも関連する複雑な病態に対しても対応していると小児外科の教授・藤野明浩さんは話します。潜在的に困っている人を救いたい性的少数者への認知とともに、心の性(性自認)の多様性は近年広く知られてきていますが、体の性の多様性についてはまだほとんど知られていません。性分化疾患センターを訪れる患者さんを診ることが多いという、小児科の専任講師・佐藤武志さんはこう言います。「性分化疾患でありながら、ご自身は何の疾患なのか分からずに困っている方が、潜在的に多くいると思います。そうした方々を救うために、ここで適切な診療ができればと思っています」ニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel






