【社説】勉強時間の減少 学ぶ意欲を引き出す地道な実践こそ2026年8月20日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●児童生徒の学校外の勉強時間が年々減っているとの調査結果が相次いだ●「何のために勉強しているのかわからない」と答える小中高生も増えている●必要なのは、学ぶ意欲を引き出す地道な実践だ。様々な調査結果を子どもからの大事なシグナルと受け止めたい

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子どもには夏休みを満喫してほしいが、勉強も忘れないで――。そんな思いの保護者にとっては、少々気になる数字かもしれない。子どもの勉強時間の減少を示す調査結果が今夏、相次いで示された。 一つは文部科学省の全国学力調査だ。平日1日あたりの学校外の勉強時間をみると、「1時間以上」の割合がこの5年で、小6は63%から50%に、中3は76%から62%へと減少。小学校の算数の正答率は、「3時間以上」の層が71%、「全くしない」層は44%と大きな差があった。 もう一つは、ベネッセ教育総合研究所と東大社会科学研究所の「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」だ。1日あたりの学校外の勉強時間は、小中高とも2015年比で2割程度減った。 勉強時間はただ長ければいいわけではない。集中力を高めて勉強時間を短くし、生まれた余裕を文化・スポーツなど本当にやりたいことに生かすなら望ましいことだろう。ネット利用時間が急増 ただ、現状で背景として浮かぶのはデジタル環境の激変だ。こども家庭庁の25年度調査では、平日1日あたりのインターネット利用時間は小学生(10歳以上)が3時間54分、中学生が5時間24分で20年度から6割増加。中高生のおよそ4人に1人が、ネットにのめりこんで勉強に集中できなかったり睡眠不足になったりしたことがあるという。 こども家庭庁の会議で、参加した中高生から長時間利用の弊害を指摘する声が出た。具体的な対策の議論を急がなければならない。学ぶ目的「わからない」 勉強時間が減る背景には、学ぶ動機付けの希薄化もうかがえる。「親子調査」では、「何のために勉強しているのかわからない」との回答が、16年比で小学生は21%から40%、中高生は3割台から4割台後半に増えた。 わからないことは生成AIに聞けば、一応の「答え」が示される時代になった。知識を詰め込むだけの勉強であれば、意味を感じなくなる子どもが増えても不思議はない。 必要なのは、例えば身近な自然現象や地域の出来事とのつながりを意識した授業を通して学ぶ意味を明確化する、子ども自身が見つけた課題に取り組む探究学習などを通じて自発的な学びを促す、といった地道な実践ではないか。格差拡大も 格差拡大との関係にも注意したい。「親子調査」によれば、保護者の収入などに基づく「社会経済的地位」が低い層ほど、宿題以外の家庭学習時間の減り幅が大きい。 様々な調査結果を、子どもから発せられた大事なシグナルと受け止めたい。動画・SNSの時間長いほど低い正答率 学力調査 端末活用なら高く「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする