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アメリカで若い世代を中心に注目されているブッククラブ(読書会)。SNSやAIの時代になぜあえて集まり、本を読み、語り合うのか。カリフォルニア在住で、Z世代についての著書を執筆し、AIに関する研究が専門のジャーナリスト・研究者の竹田ダニエルさんは、その背景として「SNSのカス化」やリアルなコミュニティーへの回帰を指摘します。大学院でAI倫理教育の研究にも携わっていた竹田さんが考える、AIへの向き合い方や「読む」ことの意味とは。AI時代に、読むこと、問うこと、考えることとは――。書店や出版の危機が高まる一方、読書のあり方は多様化し、新たな動きも注目されています。AI・要約・映像の時代に「読む」はどう変化していくのか、インタビューシリーズで探ります。Re:Ron特集「AI時代に何を読む?」竹田ダニエルさん記事のポイント・アナログに注目 背景にSNSの「カス化」・デュア・リパが「禁書」を集めて展示・「スローダウン」の価値を持つことも・信じられないくらい格差が広がっている・AIに代わらない人間力があるとすれば■アナログに注目 背景にSNSの「カス化」 ――アメリカでブッククラブが注目されているそうですね。 動きとして盛り上がっていると思います。ただ、ブッククラブだけではなくて、ランニングクラブや音楽イベント、マージャンクラブ……リアルでの集まりがブームになっている。コロナ以降、集まれる場も減り、ネット上のつながりだけでは孤独で、人とつながりたい、語り合いたい、という欲求が高まっていた。皆で集まって一つの趣味を共有することが再評価され、ブッククラブ人気もその流れの一つだと思います。 特にいま「アナログ」が注目されています。なぜかというと、スマホ依存気味の人たちがスマホから離れたいと思い、リアルな対面でのアクティビティーを増やそうとしているから。紙媒体やレコードなどが、若い人たちの間で「かっこよさ」という一つの価値を持つようになっている。 その背景にはSNSの「カス化(enshittification)」があります。作家でジャーナリストのコリイ・ドクトロウ氏が提唱した言葉ですが、インターネットのサービスやSNSがどんどん使いづらくなっていく現象で、最初は便利なサービスとして人を集めて、そこで依存させた後に広告を増やしたり、アルゴリズムを変えたり広告を導入したりして、利用者にとって使いにくいものになっていく。 さらに今のSNSは、いかに目立つか、いかに波風を立てるか、いかに効率的に攻略するか、が優先される。AIの普及によってフェイク情報や自動運用のボットも増えて、ネットに「リアルさ」がなくなっている感覚が強まっています。 そういう状況に違和感を持つ人が増えているからこそ、本を読む、人と会う、といったアナログな体験の価値が若い世代を中心に見直されているのだと思います。 ――ブッククラブにも、書店を巡る「book crawl」、屋外に集まって静かに本を読む「The silent reading party」、オーディオブックを聴きながら歩く「Walking Book Club」など様なスタイルがあるようで、興味深いです。 いくらアナログに回帰するといっても、やっぱりベースにはSNSに載せたいという気持ちはあるのでは。たとえば、「静かに本を読む会」といったスタイルは少し変わった要素があるから、SNSでも広がりやすい。そうしたローカルな発信が面白いものとしてバズって注目を集めている、という面があると思います。 各地の書店では毎週のように色々なゲストを呼んで、トークイベントが開かれています。特にアメリカは多様な人々が暮らしていて、それだけ思想や価値観もすごく分かれている。たとえばクィアの専門書店ではクィアな著者を呼んで、ブッククラブがセーフスペースのような場になることもある。女性のエンパワーメントのブッククラブや、恋愛小説、ティーン向けの小冊など、参加者は自分の属性を認知したうえで選んでいるところはあると思います。■デュア・リパが「禁書」を集めて展示 ――価値観やアイデンティティーを共有できる場にもなっているのですね。 アメリカでは近年、保守派の政治家や保護者団体などの影響によって、公立学校や図書館から特定の図書を撤去したり規制したりする「禁書」の動きも一部であり、アクセスできる情報に格差も生まれています。 このような状況に対して、読書好きとしてブッククラブを主宰し、若い世代を中心に人気を集める歌手のデュア・リパが6月、世界各地で検閲や撤去の対象となった「禁書」を集め、「図書館」と名付けてポルトガルの書店内に展示する動きもありました。 そもそもアメリカでは「本を読むことが大事」という文化が根強くある。私が子どもの頃は、学校に本を販売するトレーラーが来たり、本を読むイベントが開かれたりしていました。日常でも政治や社会について意見を語るような機会が多い。最近読んだ本や記事について話す文化が今でもあり、教養として機能している部分はあると思います。■「スローダウン」の価値を持つことも ――AIによって本を「読む」行為はどう変わると思いますか? すでに変わり始めていると思…