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ニュースレター「Slow Times」を立ち上げ、週2回、アメリカのテック・カルチャーについて発信する宮武徹郎さん。AIによって偽の情報があふれ、何が本物なのかを見極めることが重要になる時代が来るといいます。SNSのアルゴリズムが変わり、AIがコンテンツを大量に生み出す今、新聞やジャーナリズムはどこへ向かうのか。ポッドキャスト「Off Topic」でアメリカのテック・カルチャーを発信してきた宮武さんが、ニューメディアの潮流からAI時代の報道のあり方まで、テックの視点で語りました。※本記事は、ポッドキャストエピソード「(対話)テックの視点で新聞を考える 宮武徹郎さん」の音源を生成AIで文字起こしし、音声チームと出演者が確認・校正したうえで公開しています。「ニューメディア」と「クリエーター」は似て非なるものアメリカでは近年、新聞社から独立して自らのメディアを立ち上げたり、ニュースレターを個人で発行したり、ベンチャーキャピタルが独自のメディアを作ったりする動きが広がっています。宮武さんは、こうした新しいメディアのあり方をめぐる潮流が、アメリカで「ニューメディア」として話題になっていると説明します。宮武さん自身は、「ニューメディア」と「クリエーターエコノミー」の違いを、メディアを考えるうえで重要なポイントとして捉えています。「ニューメディアの場合、必ずしもユーザーが増えなくてもよく、それよりその業界のインサイダー(関係者)とのつながりが大事です。一方、クリエーターエコノミーでは、ユーザーが増えなければビジネスが成り立たないと考えられています」2026年5月にOff Topicを終了し、約1カ月の休みを経てニュースレター「Slow Times」を始めた宮武さん。今回は、以前よりもクリエーター寄りの立ち位置を意識しています。Off Topicでは、リスナー数だけに依存せず、別途、コンサルティングなどでも収益を得ていました。一方、Slow Timesは読者数が増えることが事業の成立に直結するサブスクリプション型です。宮武さんは、クリエーターの方が読者との親密な関係をつくりやすいのではないかと考え、コミュニティーづくりにも挑戦したいと話します。「ちゃんとフォロワーに届けたい」なぜニュースレターなのか。その理由の一つは、SNSの変化にあります。宮武さんは、X(旧Twitter)がTikTokに近いアルゴリズムへ変化し、フォローしている相手の投稿が必ずしも届かなくなっていると指摘します。TikTokでは投稿が自分のフォロワーに届く割合を約10%とする試算もあるそうです。「直接届けられない環境をどう変えるのか。でもニュースレターなら、直接届けられるんです」SNSでは、フォロワーがいても、アルゴリズムに選ばれなければ投稿が表示されない。その点、ニュースレターなら登録した読者に直接情報を届けやすいというわけです。ニュースレターを選んだもう一つの理由は、マネタイズの構造です。宮武さんは、ポッドキャストやYouTubeでは広告を中心とした収益モデルになりやすく、大きく成功する層と、そうでない層との差が生まれやすいとみています。一方、ニュースレターのサブスクリプション(定期購読)モデルでは、月額1千~3千円程度の課金でも1千人の読者が集まれば安定的な収益になります。「ニュースレターの場合、ミドル層が他のプラットフォームより多いんですよ」と宮武さん。大成功しなくても、フルタイムで活動を続けられる中間層が生まれやすいことが、ニュースレターの強みだと話します。「裏方」を見せる時代 人間が動いていること自体がコンテンツにAIでコンテンツを簡単に生成できるようになる中、宮武さんは「人間がちゃんと動いている」ことを見せる価値が高まっていると指摘します。アメリカのエンタメや小売業界では、完成したコンテンツだけでなく、制作の舞台裏を映した動画そのものが多くの再生を集めることがあります。宮武さんは、アパレルブランドGapがキャンペーン制作の過程を撮影するため、別の監督を置いて舞台裏の映像も残す取り組みを紹介しました。こうした流れから、対話は新聞社の仕事の「裏側」をどう見せるかという話に広がります。神田記者は、記者がどれだけ情報の裏取りに時間をかけているかが読者からは見えにくいと指摘。さらに、朝日新聞の社説を決める論説委員の会議を公開してはどうかと持ちかけると、宮武さんは「ポッドキャストにしたら、めちゃくちゃ面白いと思いますね」と応じました。【社説PLUS】消費税の減税は重大な岐路だ 譲らない高市首相に映る二つの危うさ一方で、個人の発言が会社の見解と異なった場合にどう対応するかなど、日本企業ではリスク管理が課題になります。宮武さんは、それでも成功事例が出てくれば日本でも少しずつ変化する可能性があるとみています。米国では店舗スタッフや様々な職種の会社員が、自らの仕事をコンテンツ化し、インフルエンサーになる動きも広がっているといいます。制作費1ドル以下、週3千本のAIポッドキャストAI時代の到来は、コンテンツを作る経済性そのものも変えようとしています。宮武さんの知人が運営するスタートアップでは、AIを使って1週間に3千本のポッドキャストを制作しているといいます。地域の天気予報のようなニッチなテーマも扱い、AIが生成したキャスターを使って配信する仕組みです。「制作コストが1ドル以下なんですよ」自社の広告ネットワークの収入により、1本あたりわずかな再生数で黒字になる。従来のポッドキャストとは異なる経済性を持っているそうです。宮武さんは、こうした仕組みから新しい種類のメディアが生まれる可能性を指摘する一方、AIによって「話題性を人工的につくる」ことも容易になると警戒します。たとえば、アメリカのレストランチェーンがロゴを変更して批判を受けた事例について、宮武さんは、TikTok上の批判動画のかなりの割合がAIによって生成されたものだったとされるケースを紹介しました。AIが楽曲を量産する時代 人間が作った曲は「高級すしになる」未来AIを使えば、異なる人物が同じ主張をする動画を大量につくることもできる。これまでなら一人だけが異様なことを言っていれば疑えたものが、100人が同じことを言っているように見せられる時代になるかもしれません。「ディープフェイクの概念は逆になると思いますよ。ほとんどのものは全部うそで、何が本物かが分かるのが大事、という時代」宮武さんは、だからこそ既存メディアにもチャンスがあると考えています。ファクトチェックに人やコストを投じられることは、個人のクリエーターにはない強みになり得ます。「僕が言っていることを疑ってほしい」宮武さんがこの言葉を口にしたのは、アメリカで広がる「予測市場」について話していた時でした。選挙や政治、スポーツなどの将来を予測し、金銭を賭けるサービスは、ニュースとの連携も進みつつあります。一方で、ギャンブル性やインサイダー取引などをめぐる問題も残ります。ノーベル平和賞、事前に情報漏洩か 賭けサイトで受賞者の人気急上昇宮武さんは、自身のニュースレターでは、そうした問題が整理されない段階で安易に活用することには慎重です。また、「どっち派か」と単純に立場を決めることより、ニュアンスを大切にしたいと話します。そして、Off Topicのころから伝えてきたという考えを口にしました。「僕が言っていることを疑ってほしいんですよ」宮武さんの考えをそのまま答えとして受け取るのではなく、それを踏まえて、読者自身が判断する。その姿勢は、AIによって情報量が急増し、何が本物なのかを見分けることが難しくなる時代には、さらに重要になりそうです。「本物」と検索すると、出てくる偽情報 小学生から養う見分ける力最後に、テキストメディアの未来について聞きました。宮武さんは「テキストメディアが大好きですし、一番深掘りしやすい媒体だと思う」と話します。オンラインの文章なら、分からない言葉をその場で調べながら読み進めることもできます。一方で、テキストが「全員に向いた読むフォーマット」ではないとも指摘します。「今まではそれしかなかったので、みんなそれを読むしかなかった。その実態はもう変わりつつあるので、受け入れないといけません」AIによって、テキストを図式化したり、可視化したり、映像化したりすることも以前より容易になりました。宮武さんは、テキストを中核のコンテンツに置きながら、それを別の媒体に展開して届ける方法も考えています。新聞もまた、テキストだけを届ける存在ではなくなっています。宮武さんは、AIやSNSによってリーチが難しくなる中でも、「いいコンテンツを作り続けること」がまず土台にあると話していました。そのうえで、サブスクリプションや広告を組み合わせ、テキスト、音声、映像など媒体をまたいで届け方を変えていく。テキストへの愛着を持ちながら、テキストだけに固執しない。変化するメディア環境を受け入れたうえで、どうすれば良いコンテンツを読者に届け続けられるのか。宮武さんとの対話は、その問いを考えるための多くのヒントを投げかけました。朝日新聞ポッドキャストでは、この対話の全体を音声で聴くことができます。記事では紹介しきれなかったやりとりも、あわせてお聴きください。宮武徹郎さんみやたけ・てつろう 1992年生まれ。ニュースレター「Slow Times」発行人。バブソン大学卒業後、事業会社の投資部門で主に北米スタートアップ投資に従事。2021年にOff Topic株式会社を創業し、米国テック・スタートアップ・ビジネス・カルチャーを扱うポッドキャスト番組「Off Topic」などを配信。26年5月の番組終了後、ニュースレターを創刊からニュースレター「Slow Times」を創刊。神田記者のプロフィルはこちら番組を振り返って(神田)事実を伝える。そのシンプルなことが最も難しいと日々痛感しています。あらゆる手段を尽くさなければならないと、宮武さんとの議論で再認識しました。ニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel