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AIを「調べ物と要約くらいにしか使えていない」と感じている人は少なくないかもしれません。ポッドキャスト「限界突破ライフハック」に出演する田中渓さんも「リサーチとまとめと、音声入力くらい」と話します。一方のけんすうさんは、買い物、資料作成、読書メモ、旅行計画、投資の情報収集まで……さまざまなAIを使い、自分の思考パターンを再現しているそうです。共通していたのは、AIを単なる検索窓ではなく「優秀な新人に仕事を頼む」ように扱う感覚でした。【この記事は、元ゴールドマン・サックス証券の投資家・田中渓さんと、起業家・アル代表のけんすうさんこと古川健介さんのポッドキャスト番組「限界突破ライフハック」を、アルのAIサービス「Pody」で文字起こしし、編集したものです】写真で聞くと、「名前のない困りごと」が解けるけんすうさんが最近よかったと話したのが、ChatGPTのショッピング機能です。たとえば、家の中の写真を撮って「ここに合う収納がほしい」「この電子ケトルの横にコーヒー道具を置きたい」と聞く。すると、具体的な製品や解決策を提案してくれるそうです。ここで効いてくるのは、「検索ワードがわからないもの」に強いことです。普通なら「キッチン収納」「水回り 収納」などと検索します。ただ、自分が困っている状態を、ちょうどいい言葉にするのは意外と難しいものです。AIに写真を見せれば、状況を読み取り、「それならこういう解決があります」と返してくれるそうです。けんすうさんは、お風呂場の蛇口まわりの水あか対策でもAIを使ったといいます。クエン酸がよさそうだとはわかっている。でも粉を使うのは面倒。すると、クエン酸入りの掃除シートのような商品を提案され、購入につながったといいます。田中さんはこれまで、名前のついていないものをGoogleで探すのが得意だったそうです。「いろいろなワードを組み合わせて正解にたどり着き、友人に驚かれることが自己肯定感にもなっていました。ただ、その能力はAIにかなり代替されつつある」と笑います。型番、互換性、ケーブル問題はAIに聞くもうひとつ実用的なのが、製品の互換性を調べる使い方です。けんすうさんは、iPad miniの画面をARグラスに映したいとき、ケーブルや対応モードの違いが複雑で困ったことがあるそうです。買ってみたらつながらない、という失敗も起こりやすい領域です。そこで、見ているページや製品情報をもとにAIに聞くことにしました。「この組み合わせで使えますか」「これは対応していますか」と確認すると、かなり便利だと話します。田中さんにも、ちょうど似た経験がありました。長年使っていたブレンダーの本体部分が壊れ、泡立て器部分だけは残っている。「本体だけ買い替えたいが、15年前のものなので今の型番と接続できるのかがわからない」状態です。メーカーサイトを見ながら、型番を調べていたそうです。けんすうさんは、それこそ写真を撮ってAIに聞けばよい場面だと指摘します。これまで人間が型番、規格、対応表を追いかけていた作業を、AIにかなり任せられるようになってきたのです。調べるだけでなく「並べ方」まで任せる仕事面では、けんすうさんはGenSparkのような資料作成系AIも多用しているそうです。たとえば、各国のポッドキャストプレイヤーについて調べる。さらに、どの機能が搭載されがちなのか、Spotifyに勝っているプレーヤーにはどんな特徴があるのかをマトリックスで整理する。そのうえで、もし新しくプレーヤーを作るなら、どの機能から優先すべきかを資料化してもらう。調査、整理、スライド化まで一気に進むのが強みだといいます。田中さんは、ChatGPTでリサーチした内容を別ツールに移して資料化することが多いと話します。一方のけんすうさんは「GenSparkのようなツールでは、リサーチから資料作成まで中で完結しやすい。モデルを切り替えたり、独自データを使ったりできるため、用途によっては精度が高く感じる場面もある」と話します。また、スライドだけでなく、スプレッドシートや事業計画のたたき台を作る用途にも使えるといいます。けんすうさんは「数字が入ったテンプレートを作るところまではかなり進んでいる。細かな関数やモデル設計まで完璧に任せられるかは使い方次第ですが、下ごしらえとしては十分役に立つ」と紹介しました。自分専用のChrome拡張を作ってもらうさらにけんすうさんが勧める「少し先の使い方」が「自分のためだけのツールを作る」ことです。たとえば、Webサイト上の文字を選択すると、そのフォント名が表示されるChrome拡張をAIに作ってもらったそうです。一般向けに大きな需要があるわけではありません。だから既存ツールとしては見つかりにくい。でも、自分にはほしい。以前なら、こうした小さなツールを作るにはプログラミング知識が必要でした。今はClaudeなどに「こういうChrome拡張を作りたい」と伝えると、コードだけでなく、どのフォルダーに置き、ブラウザーのディベロッパーモードでどう読み込めばよいかまで指示してくれるといいます。田中さんは、「プログラムを書かない人間でも、そこまでできるんですか」と驚きます。けんすうさんは「プログラムの知識がない人でもかなり作れるレベルになっている」と話しました。マニアックすぎて誰も作っていないものを、自分のために作る。AIによって、ソフトウェアは「探して使うもの」から「頼んで作るもの」に近づいています。個別情報より「思考パターン」を渡す田中さんが気にしていたのは、AIにどれくらい自分のことを覚えさせられるのか、という点でした。たとえば取材や対談の前に、「相手から予想される質問と、自分が答えそうな内容をドラフトしてほしい」。そんな自分の分身のようなAIがほしいと話します。けんすうさんは、「単に自分の情報を大量に入れるより、自分の思考パターンを抽象化したほうがよかった」と語ります。たとえば、自分の記事をいくつかAIに渡し、「どういう構造で考えていそうか」を分析してもらう。けんすうさんの場合は、まず多くの人が普通に思いそうなことを言い、そのあと少しずらして、「でも実は逆なんです」と展開する。そこから構造を説明していくことが多いと気づいたそうです。その構造をプロンプトにして、「この考え方で答えてください」と依頼すると、自分らしい回答に近づくといいます。実際、取材の質問票が来たときにAIへ入れると、自分が言いそうなことが出てくるようになり、直近の取材対応はかなり早くなったそうです。一歩進んで、けんすうさんは「これからは『質問』の重要性が高まる」とも指摘しました。答えはAIでかなり作れる。だからこそ、メディアや編集者がどんな問いを立てるかの価値が増していく、という見方です。音声や動画は、いったんテキストにするしかし、田中さんの発信には、文字コンテンツがあまり多くなく、YouTubeやラジオなど音声・動画のコンテンツが多いという悩みがあります。それらをAIに学習させられるのでしょうか。けんすうさんは、「音声や動画はやはり一度テキストにしたほうが効率がよい」と話します。日本語の文字起こしは、精度がかなり上がっているものの、まだ完璧ではありません。高精度なモードを使うと使える水準になることもある一方、回によっては精度が落ちることもあり、人間の確認や修正が必要な場面もあるそうです。英語の文字起こしはかなり正確になっていますが、日本語は「私立」や「市立」のように同音異義語があり、文脈判断が難しいのだといいます。動画や音声の資産をAIで使うには、文字起こしして、要約し、整理する。このひと手間がまだ重要だということです。読書メモは、AIが探せる場所に置く読書の話では、けんすうさんの情報整理の方法が紹介されました。けんすうさんは電子書籍が9割ほど。Kindleで気になった箇所をハイライトし、その情報をObsidianというノートアプリに取り込んでいるそうです。その情報をAIエディターに読ませ、文章を書いているときに「この話、どこかの本にあったはずだから探して」と頼むと、ハイライトの中から該当箇所を見つけてくれるといいます。田中さんは紙の本がほとんどで、「ドッグイヤー」をしても後から見つけられないと話します。けんすうさんは、紙の本でも気になるページを写真に撮り、ChatGPTに文字起こししておくだけでもよいと提案します。本をスキャンしてPDF化するサービスを使えば、紙の本も検索可能なデータに近づけられます。読んだ内容を忘れてしまうなら、少し手間や費用をかけてでも「あとから使えるデータ」にしたほうがよいのではないか、という話になりました。旅行計画は、「よい情報源」を先に探させるけんすうさんがニューヨーク旅行で使ったAI活用も印象的です。Geminiに旅行計画を作ってもらったところ、Googleマップの距離感や店の評価、予約のしやすさなども踏まえたプランが出てきて便利だったといいます。ただ、田中さんは「AIに旅行プランを頼むと、ありがちな旅行ガイドみたいにならないか」と疑問を投げます。けんすうさんの工夫は、最初に情報源を選ばせることでした。ニューヨーク観光を紹介している有名なYouTuberをAIに探してもらい、その動画の文字起こしを読み込ませる。そのうえで、今イケている場所や回り方を考えてもらう。つまり、AIにいきなり答えを出させるのではなく、「誰の情報をもとに考えるか」から設計しているのです。田中さんも、経済ニュースや国際情勢で似た使い方をしているそうです。日本の第一人者だけを追っていると話がマンネリ化するため、海外の経済系YouTuberを探してもらい、その文字起こしから新鮮な視点を得ているといいます。AI時代には、何を入れるかが重要になります。よい材料を渡せば、出てくるものも変わるのです。AIに任せる感覚は「優秀な新人に頼む」けんすうさんは、AIをうまく使えるかどうかは、人に仕事を頼む感覚を持てるかに近いと話します。たとえば、ニューヨークに行ったことのない新人に「旅行ガイドを作って」とだけ頼んでも、よいものは出てこなさそうです。しかし、「このYouTuberたちを見て調べて」「地元の人のおすすめを優先して」と伝えれば、かなり改善します。AIも同じです。雑に答えを求めるのではなく、材料、観点、条件、役割を渡す。そうすると、AIはかなり働いてくれる。投資の情報収集でも、田中さんはAIを判断そのものには使わないとしつつ、視点を広げる用途では活用しているそうです。「官公庁や権威あるレポートを読ませたうえで、海外の反論や別視点を集めます。株のスクリーニングでも、複数の投資家タイプごとに見る指標を出させ、そこから自分で一次情報を確認しています」けんすうさんは、IR資料で「書いてあること」ではなく「書いていないこと」を探させる使い方も挙げました。書かれていることは読めばわかる。しかし、書かれていないことに気づくには観点が必要です。今の時代にAIについて何も触れていないのは、関係がないからなのか、言い忘れなのか、何か理由があるのか。そうした問いを立てる材料になります。投資判断そのものをAIに任せるのではなく、見落としていた観点を増やす。そこにAIの価値があるといえそうです。AI時代に残るのは、物語と異常性最後に話題は、AI時代に人間に求められるものへ移りました。田中さんは、「物語力」ではないかと話します。「同じようなことを多くの人が発信していても、誰の語り口で聞きたいか、どの分野の専門家が言っているから聞きたいかに価値が残る」と指摘します。さらに、人は「異常なまでにこだわっている人」に惹(ひ)かれます。まねできないほど限界突破している人の話には、合理性や平均的な正解だけでは出せない魅力がある。AIに健康法を聞けば、多くの場合は、運動、栄養、睡眠を整えましょうという答えになります。それは正しいかもしれません。しかし、「3時45分に起きたほうがいい」と言われたら、少なくとも話を聞いてみたくなる……田中さんはそんな風に考えています。けんすうさんは、「AIは平均的によい答えを出すからこそ、飛び抜けた人の意見や、少し変わった視点の価値が増す」と整理します。AIを使うほど、人間側に残るのは、問いの立て方、材料の選び方、語り口、そして二人のような「異常なこだわり」なのかもしれません。【ポッドキャストはこちらから】田中渓がAIに奪われた仕事とは?「もう人間がやらなくていい」業務の正体ニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel






