[PR]
(15日、第108回全国高校野球選手権大会3回戦 山口・高川学園―奈良・天理) 天理(奈良)のエース長尾亮大投手(3年)はこだわりが強い。試合前の朝風呂欠かさない アンダーシャツの糸のほつれは見逃さない。 ユニホームのしわ一つ許せず、寮でスチームアイロンをかけている。 同じサイズのユニホームのズボンも、日によってしっくり来ず「これ違うわ」と何度もはき替える。 朝はビタミン剤、夜は乳酸菌飲料。 試合前の朝風呂も欠かさない。 「のほほんとした顔をしているが……」。藤原忠理監督が言うには、陰で人一倍努力をしているらしい。 「でないと、短期間であんな成長はできない。要求に応えようとする彼のハート、こだわりが成長の要因だ」努力は見せたくない 長尾投手は努力を表に見せない。「あんまり見られたら恥ずかしい。裏で努力して、気づいたら『ここまで伸びたんか』ってびっくりされるのが好きです」と笑う。 仲間がいない時間帯を見つけ、早朝の球場や夜の室内練習場で1人で黙々と練習するのが一番集中できるという。 今でこそ強豪・天理の背番号1を背負うが、入学時は捕手だった。 自身も「まさか投手をやるなんて思ってもいなかった」と振り返る。 転機は1年の冬。 球持ちの良さに目をつけた藤原監督から「投手はどうや」と声をかけられた。 ブルペンで数球投げた。 それを見た藤原監督は「いいね」。 「だめだったらやめればいいから」と背中を押され、投手への挑戦が始まった。やめない、とまらない 長尾投手の自己分析は「やると決めたらやる。やりだしたら止まらないタイプ」だ。 翌日にはすぐ、変化球の握り方をネット上で調べ、ブルペンで試した。 「今日はこの球種を20回連続で投げられるまでやめない」と自らに課した。 自主練習では、ラインを引いた場所に球がきっちりと落とせるよう意識しながら、多い日には3箱分を投げ込んだ。 1カ月で一つの変化球を試合で使えるまでに磨き上げた。 特に縦と横のスライダーは、どの球種よりも練習を重ねた。 2年秋にエースナンバーを託された。六つの変化球を武器に 今では最速146キロの直球に加え、スライダーのほかツーシームやスプリットなど六つの変化球を操るまでに成長した。 コーチによると、投手経験が少ないゆえの「素直さ」が成長を後押ししたという。 長尾投手も「ゼロの状態から始まった。(監督らを)信じてやるしかなかったので、教えがすっと入ってきた」と振り返る。 昨夏の甲子園では背番号11だった。 1回戦の鳴門(徳島)戦で、ピンチの場面で登板した。 三振で切り抜けると歓声が沸き、胸が高鳴った。 しかし、チームは初戦で敗れた。 今夏は「甲子園を『いい場所』から『勝った場所』に塗り替える」と臨んだ。 初戦の福山(広島)戦では、13奪三振、2失点完投。 宣言通り勝利をつかみ、天理の夏の甲子園通算50勝に貢献した。 マウンドでのルーティンは、体に一本の軸を通すように「中心を意識する」こと。両手を広げて五感で球場の雰囲気を味わい、帽子を取って深呼吸。 好きな言葉は「念ずれば花開く」。努力し続けた先に、確かに花は咲いた。






