ストーリー最後の夏、主将を支えると決めた チームをつないだ天理の副主将2026年8月21日 19時00分平田瑛美印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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(20日、第108回全国高校野球選手権準決勝 健大高崎1―0天理) 試合が終わった。アルプス席へ感謝の礼をして、みなが駆け足でベンチへ戻るとき、天理の高瀬陽斗(3年)は、主将の金本相有(さんゆ)(3年)を見た。今にも泣き崩れそうな、ゆっくりした足取りだった。 近づき、そっと背中に手を添える。 「ありがとう」 その一言しか言えなかった。 金本とともに、1年生のときから内野手でベンチ入りした。競うようにノックを受けた。食事のときは、互いの茶わんをのぞいては白飯を負けじと盛った。 先に二塁手のレギュラーをつかんだのは高瀬だった。しかし、1年生の秋、右ひじを痛めた。誰にも言えなかった。冬には、ボールを投げられなくなった。直後にあった選抜大会で二塁を守ったのは、金本だった。 右ひじの経過は芳しくなかった。開いていく実力差から目をそむけた。「もう、野球はいい」とまで思うようになった。 一方、主将になった金本は孤立していた。目標は「日本一」。激しい言葉と態度で周囲に接するあまり、温度差があらわになっていく。金本が熱くなればなるほど、他の選手は冷めていった。 甲子園に戻りたい気持ちも、その長い道のりに弱気になる気持ちも分かる。放っておけなかった。金本に叱られた選手を見つけると、フォローに回った。 金本が何を言いたかったのか、思いをくんだうえで、かみ砕いて伝える。バラバラになりそうだったチームをつないだ。 迎えた最後の夏。高瀬の背番号は「13」だった。レギュラーは取り返せなかった。近づいてきた高校野球の終わりを前にして、ふと、1年生のころを思い返した。へこたれそうなとき、いつも自分を突き動かしてくれたのは、金本だった。 「時間がかかったけれど、今度は自分が支えたい」 副主将を引き受けた。 甲子園のグラウンドを去ろうとするとき、高瀬は、金本からすっと離れた。チームメートが次々と、その背中に手を回していく。 「みんなとここに来られてよかった」 ずっと見たかった光景が、涙でにじんでいった。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人平田瑛美スポーツ部|プロ野球阪神担当専門・関心分野野球、ファン文化、教育関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする