ストーリーカンヌでふるまわれた名も知れぬ酒、理由は「ハリウッドとの違い」中島隆印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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5月にあったことしの「カンヌ国際映画祭」。そこで公式にふるまわれた日本の醸造酒は、福岡で2年前にできたばかりの醸造所がつくった、名も知れぬ酒だった。その酒は、東京都内のデパートでも販売され始め、都内で扱う飲食店も増えている。 でも、福岡の無名の酒が、なぜカンヌで? 「カンヌはハリウッドとは違う」がミソ。答えは、醸造所の社長である中山雄介さん(50)の半生と、とある出会いにある。 福岡県は田川郡、福智町。自然に恵まれた旧炭鉱の町で、中山さんは生まれ育った。 中山さんは成績優秀、高校ではラグビーで心と体を鍛えた。都会に出たい、大学に行きたい、でも、お金に余裕がない。そこで、防衛大に進む。諸事情で自衛官の道には進まなかった。 防衛を学んでいて、中山さんは思った。 国の経済を整えれば、戦争は起きないのではないか。だから経済を知りたい。資本主義の世界へ、そしてITの世界へと身を投じてみよう。 大手コンビニにバイトで入り、正社員になって20店ほどの運営指導をする立場になった。 次はITだと、電機大手に転職。システムエンジニアをして、米国の現地法人でも働いた。ロサンゼルス暮らしをして、アメリカの力を感じる。帰国して、東京にある有名米系飲料メーカーに転職した。 30代なかば。東京にある超有名な米系ネット通販に転じた。ここで自分は何を売りたいのか。中山さんは、これまでをふりかえった。 「田川の田舎」から都会に出て20年ちかく。コンビニの社員だったとき、店の棚にはビール、ハイボールなどをずらりと並べた。ほとんどが大資本の会社の、売れ筋商品だった。 ITの世界では、経済効率追求、コスパ、タイパが大切にされた。飲料メーカーでは、知名度と資本力で、自分たちの商品がコンビニやスーパーに並んだ。 自分、見て見ぬふりをしていたことがある。日本酒のことだ! 酒蔵で、時間をかけてていねいに日本酒をつくっている。その土地でとれるものを使い、添加物を入れない。 それはそれは、うまい。でも、売れない。コンビニやスーパーの棚に置かれない。だったら、ネットで売ってやる。 中山さんは、日本酒の品ぞろえを増やして売っていった。 2年前の、ある夜。 パソコンで日本酒のことを見ていた。 あれ、何だろう? ふるさと福智町の町役場が、「酒蔵を誘致します」とPRしていた。 大学進学から30年、故郷を顧みることはなかった。ところが、思いが降りてきた。 酒蔵、オレがやる。 有名な酒蔵で醸造をしていた…この記事は有料記事です。残り598文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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