コラム・寄稿審判に「誤審」の十字架背負わせない 高校野球とビデオ検証の共生2026年8月10日 15時00分稲垣康介印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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歴史的な場面を記者席で見ていた。今大会から導入のビデオ検証で、初めて判定が覆った。8日の白樺学園―東日大昌平の九回、二塁への牽制(けんせい)アウトがセーフになった。 スポーツの判定をテクノロジーに頼る流れは、年々加速している。 サッカーワールドカップ(W杯)で機械判定が導入されたのは2014年ブラジル大会。国際サッカー連盟のブラッター会長(当時)は消極的だったが、その4年前の南アフリカW杯のイングランド―ドイツ戦でイングランドの選手のシュートがバーを直撃。跳ね返ったボールは数十センチもゴールラインの内側に入ったにもかかわらず、ゴールが認められなかった「世紀の誤審」が契機になった。 イングランドの「幻のゴール」は、ちょうどカナダで主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれていた時に起きた。ドイツのメルケル首相(当時)は英国のキャメロン首相(当時)に「明らかに入っていた。ごめんなさい」と謝り、キャメロン首相が「ビデオ判定を導入すべきだ」とFIFAへの不満をあらわにした。 1980年代にフランス代表で活躍したプラティニ氏ら元スーパースターやメディアの論客の反対派もいた。「人間はミスをする。誤審の運、不運は巡り巡って行き来する。そんな人間臭さを許せる寛大さがスポーツの美徳だ」などと訴えた。 今は、死角がほぼない、あらゆる角度からのリプレーを視聴者が「事実」として目撃する。肉眼の審判が太刀打ちするのは困難だ。今回はネガティブな反応はほぼなかったが、スマホが普及し、SNSが発展する中、テレビ中継を見ない人も情報に触れ、ネタとして拡散する流れは止まらない。最善を尽くす審判に「誤審」の十字架を背負わせるのはむごすぎる。 SNSで中傷が起きる場合、「テクノロジー対人類」の図式でミスを指弾しがちだ。生成AIに仕事を奪われる脅威にさらされている人なら、テクノロジーの得意分野で張り合う不毛さが身に染みるはず。寛容な気持ちでの共生を心に留めたい。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
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この記事を書いた人稲垣康介編集委員専門・関心分野スポーツを「窓」に日本、国際情勢など社会について考察すること関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする






