クマ対策「科学的調査が大切」、知識ある人材の育成課題 専門家指摘構成・松村北斗印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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各地で増えているクマの人里への出没や人身被害。クマの生態に詳しい茨城県自然博物館の山﨑晃司館長(東京農大名誉教授、動物生態学)は、生息域の拡大はここ数年で急に起きたわけではないと指摘したうえで、有効な対策には科学的調査、分析が大切だと語る。やまざき・こうじ 1961年生まれ、茨城県自然博物館首席学芸員、東京農大地域環境科学部教授を経て、2026年4月より同博物館長。国内のクマ研究の第一人者として知られる。 環境省が1978年、2003年、17年に行ったクマについての全国調査をみると、たとえば25年度に人身被害件数がとくに多かった秋田、岩手両県では、03年の段階ですでに県域の7~8割くらいがクマの生息域に、17年にはそれがほぼ全域に広がっていた。昨今、急に広がったわけではない。クマの生息域、20年以上前から次第に拡大 日本の里山がこれほど茂った森林になっているのはこの数十年のことだ。1960年代の燃料革命で石油、ガスが日常的に使われるまで薪や炭をつくるために木々を伐採したり、伐採して採草地にしたりと、人々が暮らしの場として山を利用していた。鉱山付近も大量に木が伐採されてきた。戦時中は軍需、戦後は復興の住宅需要で大量の木が伐採された。クマをはじめとした森林性の動物が使える場所は、限られてきたといえる。 それが、里山が使われなくなり、人口減少と高齢化によって耕作放棄や消滅集落が増えたことで、とくに里山や耕作放棄地といった標高の低い場所でクマの生息域が広がっている。 人間が狩猟などで対抗しないと、クマが警戒せずに人の住むエリアに出没するようになる。東北に限らず各地で被害や出没が多発する年の間隔も短くなっているのはこうした背景がある。 今年、宇都宮市、仙台市、福島市の市街地にクマが出没した。大きな雄のクマと若いクマとのことだった。クマの分布域が市街地に迫るなかで、雄が発情期のメスグマを探す行動や、母グマから別れた若いクマがさまようなかで、河川敷などを伝って気づけば市街地に入っていたというケースではないかと考えている。50~60キロ移動する個体も 私たち(東京農大、東京農工大など)は、秋田県鹿角市や北秋田市で捕獲したクマにGPSとカメラを取り付けて、行動追跡調査を続けている。そのなかで分かってきたことがある。雄のクマが奥羽山地を越えて、岩手、青森に50~60キロ移動する事例が2例確認された。県境を越えて広く管理していく必要があるということだ。 別の雄のクマは昼間は森の中…この記事は有料記事です。残り1164文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません