【社説】高市政権に疑念深める被爆者 体験の次代への継承、広げたい2026年8月9日 19時30分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●長崎の平和祈念式典に出席した高市首相は、政権として非核三原則を守り続けるか、明言を避けた。広島での発言の繰り返しに、被爆地では疑念がさらに深まった●高齢化に直面する被爆者は危機感を強める。被爆者がいなくなる時代を見すえ、体験をどう伝えていくか●若い世代が継承の活動に加わり、核廃絶を訴えている。その声に耳を傾け、取り組みを広げたい
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被爆地の懸念と批判、怒りは、さらに強まっただろう。 長崎市での平和祈念式典に出席した高市早苗首相は、あいさつや会見で、非核三原則について「我が国は」「政府は政策上の方針として」堅持していると繰り返した。広島に続き、政権の今後の方針については明言を避けた。 長崎市の鈴木史朗市長は平和宣言で「核兵器は『必要悪』ではなく『絶対悪』」と指摘し、憲法の平和の理念と非核三原則を堅持するよう求めた。被爆地の総意と言える訴えを、首相はどう聞いたのか。首相との会合に出席した長崎原爆被災者協議会の田中重光会長は「(首相は非核三原則を)かたくなに国是と言わなかった。全く前進がなかった」と語気を強めた。 被爆者は焦りと危機感を強めている。生存者の平均年齢は86歳を超えた。被爆者健康手帳を持つ人は、ピークだった1980年度末の約37万人から、今年3月末には約9万人に。被爆者がいなくなる時代は確実に近づいている。 70年前に長崎で生まれ、2024年にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)も岐路に立つ。組織を被爆者世代限りとするか、被爆2世・3世や支援者へ引き継ぐか、今後1年かけて議論する。 核廃絶を求める被爆者の訴えを、未来に向けてどう共有していくか。資料を保存し、デジタル技術を生かして発信するだけでなく、「人」を通じて継承していきたい。行動する若い世代 被団協のアンケートによると、連携する別組織も含めて2千人近い2世・3世が、展示会や証言・署名活動に携わっている。2年前には、被団協をはじめ核廃絶活動にかかわるNGOが集まり「核兵器をなくす日本キャンペーン」が発足した。 イベント開催や署名集め、国会議員へのはたらきかけなどを展開している。20~30代の世代が前面に出て、ボランティアやインターンの形で若者らが集う。広島・長崎両市が長年積み重ねてきた継承支援事業とともに、次世代の輪を広げてほしい。 広島市の大学生、増本夏海さん(23)は、被爆者の体験を語る「伝承者」の一人だ。市の事業に応募し、20歳の時に当時の最年少メンバーとして加わった。5歳で被爆した女性から体験や思いを学んだ後、学校などで証言を語り継ぐ活動を続けている。 「変わらないと思ってみんなが動かないから、変わらない。だから自分が動く人になる」。戦争被爆国に暮らす一人ひとりが受けとめるべき言葉である。【社説】被爆地を訪れた高市首相へ 非核三原則は守るべき「国是」だ「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません







