【社説】非核三原則「国は堅持」繰り返す首相 被爆地に広がる批判2026年8月6日 21時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●81年前に原爆が投下された6日、高市首相は被爆地の広島で、非核三原則について「我が国は堅持」と繰り返した●しかし政権としての今後については明言を避けた。安保3文書改定に向け、「持ち込ませず」見直しを意識した発言が政府・与党内で消えない●被爆地には懸念と批判が広がる。3原則は戦争被爆国としての国是であることを、首相は銘記すべきだ
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核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという「非核三原則」は、歴代政権が守ってきた政策というだけではない。戦争被爆国としての「国是」であり、日本が核廃絶を訴える際の礎石である。 高市早苗首相が被爆地・広島を訪れた。平和記念式典のあいさつで「我が国は非核三原則を堅持している」と語ったのに続き、三原則見直しの可能性を問う被爆者の質問にも同じ内容を繰り返した。 昨年の石破茂首相が「三原則を堅持しながら『核兵器のない世界』に向けた取り組みを主導する」と未来を見すえて語ったのとは異なる。被爆者から「『堅持している』は現状説明に過ぎない。見直さないという決意が見えなかった」「将来どうするのかという話がなかった」と批判が出たのも当然だ。 発言自体は、首相が就任以来、口にしている内容の範囲ではある。しかし、81年前に原爆が投下された日に、被爆地で、政権として今後も三原則を維持すると明言しなかった影響は決して小さくない。 高市氏はもともと「持ち込ませず」の見直しが持論だ。昨年末、首相に近い官邸幹部が核保有論に言及したのに続き、小泉進次郎防衛相は「一般論」と断りながら「あらゆる政策をタブーなく議論するべきだ」と繰り返す。連立与党の日本維新の会からも、高市氏の持論に歩調を合わせた声が上がる。 今年末には安全保障関連3文書の改定が控える。高市氏は「私が今、予断することは差し控える」と語った。一連の発言を重ねれば、三原則の見直しへ地ならしが進んでいるとの疑念がぬぐえない。 確かに安保を巡る国際環境は厳しく、日本は米国の「核の傘」に守られている。だからと言って、核への依存を強める方向に動くことが戦争被爆国がとるべき道なのか。 日本は昨年まで32年連続で国連に核廃絶決議案を提出し、米国など核保有国にもはたらきかけつつ採択されてきた。その土台は非核三原則だ。もし見直すことがあれば、築いてきた信用を失うだけではない。核兵器は使われてはならないという「核のタブー」が揺らぐなか、その弱体化に拍車をかけかねない。 平和記念式典で、広島県の横田美香知事は「核抑止力を求めること自体が新たな戦争を引き起こしている」と指摘した。県原爆被害者団体協議会の原田浩理事長は首相に「自分の頭の上で(原爆が)落ちたらどうなるか、五感で感じて受け止めた上で対話してほしい」と求めた。首相は被爆地の声を聞くべきだ。非核三原則見直すのか 高市首相は「現状説明」 被爆者の厳しい視線「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする










