【社説】核の議論求める小泉防衛相の発言 非核三原則見直しの布石か2026年7月28日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●小泉防衛相の発言は安保3文書改定で非核三原則を見直す地ならしだろう●核依存を深めるのでなく、核兵器を使わせない国際規範の再構築をめざすべきだ●非核三原則は被爆国日本の国是であり、外交・安全保障にも資するものだ
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小泉進次郎防衛相が核兵器をめぐる議論の必要性に重ねて言及している。具体的な内容には触れず、何度も「一般論」と断っているが、政府が年末に予定する安全保障関連3文書の改定に向け、非核三原則の見直しを俎上(そじょう)に載せる布石に違いない。熟考された提起には見えず、看過することはできない。 小泉氏は17日のインターネット番組で、フランスが核戦力を増強し、フィンランドが自国への核兵器の持ち込みを認めるなど、ロシアのウクライナ侵攻後の欧州の動向を紹介したうえで、日本も「あらゆる政策をタブーなく議論しなければならない」と語った。その後も、訪問先のベルギーで「あらゆるタブーなく議論を」と繰り返した。 日本は核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという非核三原則を「国是」としているが、高市早苗首相は「持ち込ませず」の見直しが持論である。昨年末には、首相に近い官邸幹部から核保有論まで飛び出した。 安保3文書の見直しに向けた自民党の提言は非核三原則には触れなかったが、同じ与党の日本維新の会は「持ち込ませず」について「現実的検討」を求めている。小泉氏は記者会見で、3文書改定に向け「あらゆる選択肢を排除せずに議論することは不可欠だ」とも述べており、政府が今後見直しに動く地ならしと見るほかない。 安全保障のあり方は不断に検証されるべきであるし、ロシア、中国、北朝鮮という核保有国に囲まれた日本が、米国の「核の傘」に頼る現実も否定できない。 だが、核軍縮・不拡散体制が揺らぐ国際情勢の中でいま求められるのは、核への依存を深める方向ではなく、核兵器を二度と使わせないという国際規範の再構築である。 戦争被爆国である日本には特別な責務もある。広島、長崎の体験は、核兵器が人間社会にもたらす惨禍を世界に示した。被爆者たちは長年、その記憶と教訓を訴え続け、核兵器は決して使われてはならないという「核のタブー」を支えてきた。 防衛力の抜本的強化を旗印に、敵基地攻撃能力の保有や殺傷兵器の輸出解禁など、戦後の抑制的な防衛政策の転換を推し進めてきた日本が、非核三原則まで見直すことになれば、周辺国にどのようなメッセージとなるのか。 力と力の対峙(たいじ)が強まり、かえって地域の平和と安定を損ないかねない。日本が戦後、築いてきた非核政策、核廃絶・軍縮の訴えへの国際的な信頼が損なわれてはならない。小泉防衛相、核めぐり「タブーなく議論しなければ」欧州の動向踏まえ「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする






