【社説】異例の日米協調介入 円安対策の正攻法は財政規律の回復2026年8月3日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●円安に歯止めをかけるため、日米両政府が協調して為替介入に踏み切った●この間の円安は、高市政権の財政拡大路線の影響も大きい●介入は対症療法に過ぎず、財政規律を取り戻すことが円安対策の正攻法だ

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日米両政府が協調して為替介入に踏み切った。円買いドル売りで足並みをそろえる異例の措置で当面、一段の円安は避けられそうだが、抜本的な対策にはなり得ない。円安抑制には、高市早苗政権が、無責任な財政運営を自ら改めることが何よりも重要だ。 片山さつき財務相は3日朝、「円の過度な変動や無秩序な動きに対処した」と説明。さらなる協調介入も「ちゅうちょしない」と語った。ベッセント米財務長官もSNSで支持を表明した。 日米の協調介入は、2011年の東日本大震災後の円売り以来15年ぶり、円買いでは金融危機があった1998年以来28年ぶりだ。今回は深刻な経済危機は起きておらず、必要性には疑問も残る。円安の一因は財政拡大路線 このところの円安進行は、中東情勢の混迷に加え、高市政権が財政拡大路線を続ける影響も大きい。成長戦略で民間投資の呼び水として積極的な財政投入をうたい、食料品の消費税率引き下げも表明した。しかも「骨太の方針」から財政「健全化」の文言が消え、防衛費増額も含めて財源確保は先送りされたままだ。財政の信認が揺らぐ懸念から、日本国債や円を売る動きが強まるのも無理はない。 財政出動で需要を増やしても、日本の企業が「人手不足」や原材料の高騰に直面するなかでは、物価高を深刻にするだけだ。財政への懸念やインフレ圧力の高まりが、さらなる長期金利の上昇や円安を招く悪循環に陥りかねない。経済の現状に合わない政策の弊害を、介入で糊塗(こと)しようとするなら本末転倒だ。 日本銀行も物価高に対し後手に回らぬよう、政策金利を適切に引き上げていく必要がある。政府は「骨太の方針」の策定過程で、原案の記述が利上げへの牽制(けんせい)と受け止められ、「骨太ショック」と呼ばれる市場の混乱を招いた。政府は、必要な利上げを妨げるような動きを慎むべきだ。米国にも思惑 米国が協調介入に動いたのも、日本市場が混乱し、米国に悪影響が及ぶのを恐れたためとみられる。ベッセント氏は1月に米国債が大きく売られた際も、日本の長期金利上昇の波及が要因と主張した。ドル高修正が米国の輸出に有利との思惑もあるだろう。 協調介入についてトランプ米大統領は、「日本は円安で少し助けを求めていた」と述べつつ、米国の経済的利益になるとも語った。関税交渉で要求を突き付けてきた米国なら、協調介入に見返りを求めてきても不思議ではない。対症療法である介入に頼らず、財政規律を取り戻すことが、円安対策の正攻法だ。異例の日米協調介入、背景と今後は? なぜユーロ売り? 識者の見方「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする