2026年8月2日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●高市首相が力を入れる情報機能のさらなる強化に向け自民党が提言をまとめた●犯罪捜査が目的の通信傍受を安全保障目的に拡大することも盛り込まれた●通信の秘密やプライバシーを侵害する懸念があり、必要性から検討が必要だ
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高市早苗首相が力を入れる政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能のさらなる強化に向け、自民党が外国勢力による諜報(ちょうほう)活動や影響工作に対処するための包括的な提言をまとめた。 高市政権は7月31日、先の国会で成立させた法律に基づき、司令塔となる国家情報会議の初会合を開催。事務局を担う国家情報局も発足した。今後、スパイ防止関連法制の制定や対外情報庁の創設に向けた検討を本格化するが、市民への監視強化やプライバシー侵害への懸念を置き去りに突き進むことは許されない。 自民の提言は、外国の情報機関の活動を支援したり、金銭などを受け取ったりする行為に刑事罰を科す「外国干渉防止法」の整備や、対外情報庁の2027年度末までの設置を検討するよう求めた。 通信情報の収集能力強化のためだとして、今は犯罪捜査のために裁判所の令状に基づいて行われている通信傍受を、安全保障を目的に令状なしでできるようにする「対外情報収集法」の検討も打ち出した。対象範囲を限定し、厳格な手続きを課すというが、憲法21条が保障する通信の秘密やプライバシーを侵害する懸念がある。広範な傍受が本当に必要なのか。根本から議論せねばならない。 憲法が通信の秘密を定めているのは、民主主義を支える表現の自由や思想・信条の自由を守るためだ。戦前、治安維持を名目に、国家権力が検閲などを通じて市民を監視した苦い反省もある。 提言は、情報活動をめぐり、政府に強力な権限を与えるのなら、国民の信頼を担保する民主的な監督機能とセットでなければならないと説く。国会による監視強化や専門家による独立監察組織を提案するが、具体的な制度設計を見極めないと、歯止めとしての有効性は評価できない。 第2次安倍政権が外交・防衛にかかわる情報漏洩(ろうえい)を防ぐための特定秘密保護法をつくって以降、サイバー攻撃への対処に限って一部の通信情報の収集・利用を認めた能動的サイバー防御法など、通信の秘密やプライバシーに関わる法整備が近年、次々と進められてきた。 政府は自民の提言も踏まえ、この夏に有識者会議を設置して、具体策の議論に入る。首相は先の国会閉会後の記者会見で「国民の自由、人権とのバランスにも配慮しながら検討を進める」と述べた。国民の安全や開かれた社会を守るためと言いながら、自由や権利を脅かし、息苦しい社会を招くような本末転倒は避けねばならない。安保目的の通信傍受、自民が導入提言へ 反発見据え政府は慎重姿勢「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする







