高市政権の「国家情報局」創設、アメリカの「失敗」から学ぶべきは編集委員・園田耕司印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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プライバシー保護の観点から懸念の声も出ていた、政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能を強化するための法案が先週、参院本会議で可決・成立しました。司令塔となる「国家情報会議」と実務を担う「国家情報局」が新たに設置され、国家情報局には、警察庁や外務省など複数省庁にまたがる情報をより強力に集約・分析するための権限が与えられます。 政府はさらに今後、外国勢力に情報を盗まれることなどを防ぐための「スパイ防止法制」や、米中央情報局(CIA)のような国外を対象に情報を収集する「対外情報庁」の設置を目指し、新たな情報機関の仕組みづくりについて議論を本格化させることになります。 国家情報局の創設をめぐっては国会でも様々な議論がありましたが、私は、政府がこれから新たな情報機関の仕組みをつくるうえで最も重要なのは、時の政権の政治的な意向を「忖度(そんたく)」せず、客観的な情報分析ができるように、インテリジェンス機能の独立性を確保することだと思っています。 とくにこの点について、インテリジェンス先進国である米国の「失敗」にこそ、日本が学ぶべきことは多いと考えています。 今回のニュースレターではその話をしたいと思います。「イラクが大量破壊兵器を開発」、パウエル氏の国連演説の背景で何が? 米国の情報機関をめぐっては、2001年の米同時多発テロの「兆候」をつかんでいたにもかかわらず政府の対応に結びつけられなかったことなど、過去にいくつかの大きな失敗がありますが、日本にとって最も大きな教訓となるのは、03年のイラクの大量破壊兵器をめぐる問題だと考えます。 当時のG・W・ブッシュ政権は「イラクが大量破壊兵器を開発している」との「証拠」をつかんだとして、イラク戦争に踏み切り、イラクのサダム・フセイン政権を打倒しました。ですがその後、開戦の大義となった大量破壊兵器は見つかりませんでした。 私はかつて、この問題に関わった元米政府高官から経緯の詳細を聞いたことがあります。この元高官は開戦当時、パウエル米国務長官の側近でした。 元高官によると、パウエル氏はイラク戦争開戦前、CIAのテネット長官とマクラフリン副長官から直接ブリーフィングを受けました。テネット氏らはパウエル氏に「米国のすべての情報機関において、フセインが大量破壊兵器を所有しているという見方は基本的に一致している」と太鼓判を押し、パウエル氏が最も懸念していた核兵器の開発計画も「進行中だ」と強調したそうです。 テネット氏は当時、米政府の複数の情報機関を実質的に統括し、各情報機関の情報が流れ込む「水道管のような役目」(元高官)を果たしていた存在だったそうです。 パウエル氏は、テネット氏らの情報をもとに、国連安全保障理事会で演説し、フセイン政権が大量破壊兵器の開発を続けていると訴えました。 元高官は私の取材に「パウエル氏と私はテネット氏の説明を完全に信じたわけではないが、反論する情報も持っておらず、信じる以外になかった」と打ち明けました。米情報機関が掴んだ「証拠」とは? しかし、実際にはテネット氏…この記事は有料記事です。残り1242文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人園田耕司編集委員|安全保障専門・関心分野外交・安全保障、日本政治、米国政治、国際政治関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







