インタビュー所得高ければ医療費負担も重く…広がる「応能負担」、専門家は問題視聞き手・阿部彰芳印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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患者の医療費負担に歯止めをかける高額療養費制度が今年8月と来年8月の2段階で見直されます。大きな変更点は、所得の高い人ほど自己負担を多くし、給付を減らす「応能負担」を強めたことです。これは「社会正義に反する」と、医療保険制度に詳しい医療経済学者の二木立・日本福祉大学名誉教授は問題視します。その理由を聞きました。 ――高額療養費制度について、政府は今年8月に患者負担の上限額を引き上げ、来年8月に所得区分を増やし、上限額を細かく設定します。負担能力のある人により多く負担してもらう「応能負担」の観点で見直すと政府は説明していますが、公平な見直し方法ではありませんか。 私も医療や社会保障における応能負担の原則には大賛成です。しかし、それは保険料や税の負担に適用されるのであり、サービスを受ける際は所得の多寡によらず平等に給付を受けるのが社会保険の原則だと考えています。社会保障研究者の大半も同意しています。 所得の高い人は、すでに多額の保険料や税金を払っています。医療を受ける時も負担が重くなるというのは二重取りであり、社会正義に反します。 ――二木さんが6月に公表した論文によると、所得の高い人の医療費負担を重くする応能負担が導入されたのは、2000年代に入ってからです。 正確に言うと、2001年以降です。2000年代というと2000年が入ってしまいます。 この1年になぜこだわるかというと、2000年に介護保険制度が導入されました。それ以前、介護サービスは公費による措置制度でした。サービス利用に際して厳格な応能負担があり、例えば、特別養護老人ホームでは、所得の低い人は無料またはきわめて低額の負担で入所できる半面、所得の高い人は高額の費用が徴収されました。 だからこそ、介護保険を導入して、利用者負担は所得の多寡にかかわらず定率の1割としたわけです。 しかし、2001年の高額療養費制度の見直しで、応能負担が導入されました。それまで、自己負担の上限額の区分は「低所得者」「一般」だけでしたが、「上位所得者」が新設されました。 政府はわずか1年で正反対のことをしたわけです。しかし、その理由をきちんと説明していません。あいまいなまま、じわじわと応能負担を広げ、その究極の失敗が昨年撤回された高額療養費制度の見直し案です。最も所得の高い区分で76%も上限額を引き上げるなんて、常識では考えられません。 ――サービスの給付で応能負担が進むと、どんな問題があるのでしょうか。 日本は医療に関する平等意識…この記事は有料記事です。残り795文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする






