【社説】中南米の右派政権 法治と民主主義で「安心」の回復を2026年7月27日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●ケイコ・フジモリ氏がペルー大統領に就任する。中南米で右派への政権交代が相次いでいる●左派政権への失望と治安の悪化が背景にある。だが、強権で民主主義を損なえば、分断はかえって深まる●トランプ政権の介入が懸念される。日本は「法の支配」や核廃絶、不拡散で協力を深めたい
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中南米で右派政権の広がりが鮮明だ。ペルーで日系3世のケイコ・フジモリ氏が4度目の挑戦で大統領に選ばれ、28日に就任する。コロンビアでは6月、強硬な治安対策を掲げるデラエスプリエジャ氏が大統領に選ばれた。アルゼンチンやホンジュラス、チリなどに続く流れである。 背景には、格差是正や福祉拡充を掲げながら期待に応えられなかった左派政権への失望がある。 治安の悪化も深刻だ。麻薬組織や違法採掘の利権を争う犯罪組織が国境を越えて活動を広げ、恐喝や殺人が深刻化している。ベネズエラの政情混乱に加え、トランプ米政権による対外援助の大幅な縮小も、地域開発や司法改革など犯罪の温床を減らす取り組みを弱めている。こうした状況で秩序回復を掲げる右派候補に支持が集まる。 ペルーのケイコ氏は、父アルベルト・フジモリ元大統領が築いた政治基盤を受け継いだ。父はハイパーインフレを収束させ、左翼ゲリラを壊滅状態に追い込んだ一方、議会閉鎖や人権侵害、汚職で民主主義を傷つけた。父への二分する評価がケイコ氏の大統領への道を阻んできた。 今回は父の功績を認めつつ過ちも受け入れ、穏健な姿勢と自由主義経済を維持する現実路線を打ち出したことが中間層の支持につながった。 それでも課題は残る。強権だけで治安を回復することはできない。司法や議会を軽視する政治に逆戻りすれば、分断はむしろ深まるだろう。 気がかりなのは、トランプ政権が中南米を自国の勢力圏とみなし、選挙への肩入れや軍事的圧力を強めていることだ。政権を選ぶのは各国の市民であり、外部の介入は民主主義をゆがめかねない。 日本にとって中南米は資源面で深い関係にあるだけでなく、グローバルサウスの中核を担う地域でもある。中国の経済的存在感も大きいが、日本は自由貿易や法治を重んじる協力を広げるべきだ。 ペルーとは日系社会を通じた深い縁がある。しかし、アルベルト政権との関係では日系大統領という特別な存在への配慮から、強権政治への批判が鈍った反省も残る。ケイコ政権とは民主的統治の原則に基づいて向き合いたい。 中南米は、1968年に発効したトラテロルコ条約により世界で初めて非核兵器地帯を実現した地域でもある。核廃絶を目指す日本にとって、半世紀以上にわたり非核を維持してきた経験は、学ぶべき貴重な財産だ。核兵器を持たない安全保障のあり方をめぐる協力を日本は深めたい。ケイコ・フジモリ氏が勝利、父に続き日系人大統領に ペルー選管発表「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする









