ハナちゃんは死なないよ、だって名付け親だから 小原篤のアニマゲ丼小原篤印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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今敏監督「東京ゴッドファーザーズ」(2003年)のラストでハナに死のにおいがする――。思いもよらない解釈とは思考を刺激するものです。明治学院大・宮本裕子准教授による「今 敏 未完のアニメーション」(青土社)は、ハナの前で発せられた「エイズ?」の語と、ハナが血を吐くシーンを結びつけ、ハナとギンとミユキのホームレス3人組が聖なる赤子(清子)を実の親に返した後の無事を映画は何ら保証していないと解釈し、「主人公の死を含んだ生のリスクを潜在的に維持するものにも見える」(p.174)と書きます。4月に出た本ですが、ようやく読みました。 元競輪選手(自称)のギンと家出少女のミユキと暮らすハナは、今で言うトランスジェンダー女性で元ドラァグクイーンですが劇中では「オカマ」と言われます。大柄で怪力、ゴツい顔に濃い化粧。クリスマスに東京・新宿のゴミ置き場で赤子を拾い、「清子」と名付け、渋るミユキとギンの尻をたたき親を捜して東へ西へ。 確かに劇中、ハナは吐血(※劇中の描写では吐血か喀血〈かっけつ〉か不明確ですが、宮本さんは「吐血」と書くので以降それにならいます)して倒れますが診察した医者はギンに「だいぶ弱っています。安静にして栄養のあるものを」と告げます。安静+栄養で済むのなら深刻な病ではなさそう(この医者が誠実な人間であることは劇中で明示されます)。エイズの語が出るのはこれに先立つゲイバーのシーン。ハナの恩人であるママに、自分の彼氏「ケンちゃん」が亡くなったと明かすとママが恐る恐る「エイズ?」と尋ね、ハナは「風呂場でせっけんを踏んだばっかりに」と沈痛な面持ちで語る。当人にとっては悲劇ですが、「せっけんでツルリ」とは観客にとってはギャグですね。 更に先立つシーンで、ラテン系外国人らしき銃撃犯が逃げ込む路地裏で注射器をミユキが踏むシーンがあり、「薬物摂取」「エイズ」そして「吐血」へ、という「血」のイメージの連なりを宮本さんは指摘します。 医者の診断については「奇妙…この記事は有料記事です。残り2937文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人小原篤文化部|映画・アニメ・マンガ専門・関心分野映画・アニメ・マンガ全般関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする







