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5月31日の夜。東京都内で、水田悠子さん(43)は空を見上げていた。あの向こうに、東京ドームがある。 「あの方」は嵐の最後のライブを楽しんでいらっしゃるだろうか。 化粧品事業が軸のポーラ・オルビスグループ。その社内ベンチャーの社長が、水田さんだ。 水田さんは、1年前に「あの方」からきた初メールを思い出した。 《がんになり 余命宣告され》。そんな書き出しのメールで始まったお互いのやりとりが、私たちを奮い立たせたんだよね。生理ではないのに血が 水田さんは東京生まれ。教師だった母の影響だろうか、通知表にはいつも「正義感が強い」と書かれた。 中学生のとき、アイラッシュカラーを使ってみた。まつ毛、くるりん。これだけなのに変身した気がして前へ進める。化粧品の力ってすごいな。 2005年、大学を卒業してポーラに入社。兵庫での3年の勤務をへて、東京の本社で商品企画の担当になる。いつも前向きで明るく、バリバリはたらく。プロジェクトリーダーを任された。 2012年の3月、29歳になった。 生理ではないのに、ときどき血がでる。近所のクリニックでは「心配ない」と診察された。念のため検査してもらおうと、ゴールデンウィーク直前に大学病院へ。検査結果は連休明けに、となった。 連休も残すところ数日。結婚する友だちのウェディングドレス選びにつきあった。 私の気分もルンルン、さあ、おうちに帰ろう。JRの駅をおり、私鉄の駅に向かう……、 あっ、やばい。 駅のトイレにかけこむ。すでに大量出血、出血が止まらない。検査した大学病院に何とか行けたが、連休中で止血がやっとだった。がんの診断、手術、心は暗闇に 私に何が起きた? ネットで調べて、調べて、調べて。もちろん分かるわけもなく、連休が明けた。 午後は会社で会議がある。だから、診察の予約時間は、朝8時半にしていた。 待合室で待つも、呼ばれない。正午をすぎて待合室にだれもいなくなったころ、診察室に呼ばれた。医師は言った。 「子宮頸部(けいぶ)に、かなり悪そうな細胞があります。手術が必要です」 がん、うそでしょ? 信じられずにボーッ……、あっ、会社に連絡しなくっちゃ。上司に電話して事情を説明、「体のことだけ考えて」と言ってくれた。 別の病院でも診察してもらった。「子宮頸がん」と言われた。 手術を受けた。子宮、卵巣、子宮のまわりのリンパ節をとった。 しばらく後、職場復帰。明るさをよそおった。だが、再発への恐怖で、心は暗闇の中だった。 5年がたった…






