ストーリー音楽の神様が降りてきたら、命の次に大事なものを ある歌手の選択編集委員・石合力印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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ニューヨークを拠点に活動するソプラノ歌手の田村麻子さんは3年前に突然、声が変になった。 亡くなった友人の追悼の会で、心を込めてアベ・マリアを歌っているときだった。 歌手にとっては生身の体が楽器だ。体調によって声が出にくいことはある。 会の終わりにもう一曲歌う予定がある。何とか立て直さないと。楽屋で調整しているうちに、全く声が出なくなってしまった。 30年以上の歌手人生で初めてのことだった。 「すみません。あなたに歌を捧げられなくなってしまって」 心のなかでつぶやくと、「麻子さん、病院に行って」という亡き友人の声が聞こえてきた。 ニューヨークの病院で検査を受けた。のどに15ミリの腫瘍(しゅよう)が見つかった。 診断は、進行の極めて遅い甲状腺がん。摘出すれば、生存率はほぼ100%だという。 ただ、手術をする場合には、歌手にとって命の次に大事なのどを切開することになる。 「手術後に声は変わります」 複数の医師に聞いたが同じ意見だった。 腫瘍は声帯の開閉や緊張を調節する神経のすぐそばにある。 のどを繊細に使う歌手にとって、手術はあまりにもリスクが高い。 田村さんは、女声歌手で甲状腺がんになった例を調べてみた。 20世紀初頭を代表するイタリア人のソプラノ歌手アメリータ・ガリクルチ(1882~1963)がいた。 超高音のコロラトゥーラで知…この記事は有料記事です。残り767文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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この記事を書いた人石合力編集委員専門・関心分野国際政治(核問題、中東など)、芸術と社会関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする