駅前の患者、列車ではなくバスを待つ? 村営バスをなくせぬ理由高木文子印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
[PR]
「木曽路はすべて山の中である」――。島崎藤村の小説の一節で知られる長野県・木曽地域。山あいに集落が点在し、2050年までの30年間で人口が半分になるとされる。昨秋、重複するバス路線が統合され、「きそバス」という新しい路線ができた。ただ、時刻表をめくると、ルートが重なるのに統合しない路線がある。なぜだろう。6月末、出発地のバス停から乗った。 午前7時15分。木曽川沿いの停留所にバスがやってきた。愛称は「くわちゃんバス」。大桑村営の野尻・木曽病院線だ。 村から県立木曽病院を経由して、JR木曽福島駅(木曽町)までの40キロ弱を1時間14分で結ぶ。バス停が49カ所。運賃は出発地から木曽町内までで400円だ。 バスは記者1人を乗せて、始発バス停の「川向」を出発した。トウモロコシ畑のある集落を抜け、乗客のいないバス停を次々と通過する。11カ所目、JR中央線の野尻駅前のバス停で、最初の男性客(76)が乗った。公共交通は「何十年ぶり」 男性は外科手術を受け、6月下旬からバスで木曽病院へ通院する。車社会で暮らしてきたので、「公共交通機関なんて何十年ぶり」。 バスは国道を離れ、センターラインのない細い道を上り下りして集落を巡る。バス停から200メートルほどで次のバス停が現れることも。男性はバスの窓から集落の空き家を見て、「極端に人口が減少しているからね。バスの運転士の方々がさ、いなくなっちゃうんじゃないかな。それをみんな心配している」。 25カ所目、JR須原駅前のバス停で、2人目の女性客(85)が乗った。この便は低床バスだが、女性は足腰が弱く、両手で入り口の手すりを握り、ぐっと体を持ち上げて乗り込んだ。「つかまるものがないと乗れないの。運転士さんたちも心得ていて、座るまで待っていてくれる」 女性も木曽病院へ通う。自宅から村営の乗り合いタクシーで駅へ出た。2人とも駅前まで来て、列車に乗らずバスに乗る。なぜだろう。車社会の進展や人口減少で、路線バスに乗る人が減っています。病院へ通うバスは何人が利用し、なぜ統合されないのか。山あいでバスに乗って考えました。記事の後半では路線の収支や鉄道も含めた公共交通のあり方を紹介します。記者が駅を訪ねると 女性は「ぜんぶ階段で上がら…この記事は有料記事です。残り1448文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
この記事の続きを読むなら今がお得。初回1カ月無料+Visaギフトカードが当たる▶今すぐ登録
この記事を書いた人高木文子長野総局|長野県政、東信地区専門・関心分野地方の行財政、学びの多様化、ジェンダー関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする






