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公民館の前に、高齢の住民たちが集まってきた。岐阜県に接する滋賀県米原市の須川地区。目当ては、ワンボックス車の「移動市役所」と、コンビニ大手セブン―イレブンの移動販売車だ。 田園地帯にある須川地区。バナナを買った谷本あきゑさん(76)は「最寄りのコンビニは車でしか行けないから」という。藤井裕子店長によると、パンのほか、プリンやシュークリームなどのデザートが人気だ。 近くに路線バスの停留所はある。しかし、平日は朝と午後3~4時台の計6便のみで、土日・祝日はゼロだ。 こうした地域に便利さを補うため、米原市は予約型の乗り合いタクシー「まいちゃん号」を走らせる。原則30分前までに連絡すれば、午後7時台まで市内約540カ所で乗れる。市民が割安で乗り合いできる仕組みは 料金は市民割引で500円から。追加料金を支払えば、病院など米原市外へも行ける。75歳以上の住民は8千円分の助成券も申請できる。 須川地区の谷田照子さん(81)はこの日、移動市役所で助成券をもらった。2年前からマイカーを運転しての遠出は控え、病院には娘の送迎で通っており、「まいちゃん号の使い方を覚えなきゃ」と話す。 黒部峯子さん(85)もミニバイクに乗るのを5年ほど前にやめ、まいちゃん号を使う。 須川地区の住民52世帯126人のうち、65歳以上は65人。高齢化率は51.6%で10年前より15ポイント上昇し、市全体(31.3%)よりも高い。この日の移動市役所では、11人が助成券を申請した。 高齢化や人口減少が進む滋賀県北部。県が策定した地域交通計画では、「自家用車以外の移動の選択肢がある社会」などの理念が掲げられている。その財源をどう確保するのか、知事選の論点の一つとなっている。滋賀県知事選、5日に投開票 4人の争い 滋賀県知事選が5日に投開票される。新顔で元栗東市職員の大隅元侍氏(42)、新顔で共産が推薦する共産県委員会副委員長の坪田五久男氏(67)、4選をめざす現職の三日月大造氏(55)、新顔で会社員の坂本正明氏(57)の無所属4氏が立候補している。県政の課題となっている「地域の足」について探った。 実際、米原市の予算はふくらんでいる。年に1割ほど増えてきており、今年度はまいちゃん号で1億400万円だ。さらに来年にはAI(人工知能)を活用した配車を採り入れる。年間のべ5万6千人が希望に近い時間に乗車できる一方、1台の乗り合いが平均1.5人と少ないため、効率よく配車するためだ。 徐々にサービスを充実させてきたまいちゃん号。しかし、角田(すみだ)航也市長は「利用がこれ以上増えると維持が厳しい」と話す。全国的な運転手不足は米原も例外ではなく、タクシーの保有台数も限りがあるという。「なくてはならない」路線バス、運転手も不足 そこで市は、路線バスの維持も重視している。「路線バスの利用が増えれば、まいちゃん号の維持にもつながる」(角田市長)からだ。 市は年6060万円を路線バスに補助する。だが、バスも合わせた地域交通分野への県からの補助は年1700万円ほどで、あまり増えていない。 また、運転手不足はバス業界も同様のこと。米原でも運行する湖国バス長浜営業所の運転手は41人。十分なシフトには2人足りない。昨年は一部で便数を減らした。 同社は米原市、長浜市、湖北地域消防本部と今年5月、大型免許を持つ60歳以上の消防職員が転籍すれば、バス免許取得を促す協定を結んだ。 協定に加わった長浜市ではこの春、少子化の影響で北部地域で小学校の統合があり、学区が広がった。バスを使って通う児童もいる。「児童の安心のためバスが重要だ」と浅見宣義市長は協定に期待する。路線バス運転手のやりがいは 湖国バスのベテラン運転手の糟井(かすい)昭一さん(57)は「高齢化社会で利用が増える」と考えて入社した。利便性では自家用車や介護タクシーにかなわないが、「生活の一部に役立つのなら」とやりがいを語る。 運転手になって2年目の田中沢美さん(54)はある日、運転手のような帽子をかぶり、時刻表を手にした小学1年の男の子を乗せた。「大きくなったらよろしく」と声をかけたといい、「若い世代にバトンをつなげたら」と願う。 湖国バス長浜営業所の藤森茂規所長は話す。「同じことを繰り返す地味な仕事だが、地域になくてはならないと信頼されるように、続けたい」投開票日の夜、ライブ配信 朝日新聞は滋賀県知事選の投開票日の7月5日午後7時ごろから、インターネットで開票状況を伝えるライブ配信を行う予定です。当日の配信はQRコード、またはURL(https://www.youtube.com/live/mbptU9ntHn8?si=CfCT6YMVpC3Nm4Ju)からご視聴ください。






