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思うようには勝てなかった。晴れ舞台には上がれなかった。勝負とは別の場所で苦しい経験もした。でも、ずっと将棋を続けた。最後まで戦った――。 朝日新聞のデジタル版で連載中の「棋想一途(きそういちず) 新・純情順位戦」は、将棋を一途に想(おも)い続ける人の物語。島井咲緒里女流二段(46)は今月6日、最終対局を終えた。高校1年生、15歳のデビューから30年に及ぶ女流棋士人生を続けたが、成績低迷による規定で現役引退となり、盤上に別れを告げた。これまでのこと、そして、これからのことについて聞いた。 自分らしい曲を自分らしく歌う。そして、さよならをしようと思った。現役最後の一局。島井咲緒里は激しく叫ぶように指して戦いを終えた。 「楽しもうと思いましたし、最後は自分らしい将棋がいいなって」 今月6日、東京・将棋会館。第6期女流順位戦D級最終戦・梅津美琴女流初段戦。呼吸するように小さい頃から繰り返してきた穴熊に組んだ後、いきなり飛車を切っていく強打で局面を動かす。さらに打ち込んだ角で敵陣へと単騎突入する。少し無謀にも見える急襲策だったが、だからこそ彼女のラストファイトにふさわしかった。 激烈な攻め合いの中で形勢を損ね、午後0時54分に勝負は終わった。452局目で有終の172勝目を手にすることは出来なかった。 棋譜には人が表れる。勇猛で無邪気で、どこか不器用にも映る将棋は指す人の個性を体現していた。「直感派ですからね。将棋も……人生も。自分がわくわくする方向に行こうって思っちゃう。ちょっとやりすぎだよね……という癖でもあるんですけど」 敗れたが、勝つことより大切…この記事は有料記事です。残り2645文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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この記事を書いた人北野新太文化部|囲碁将棋担当専門・関心分野囲碁将棋関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする