2026年7月16日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●中低所得者を対象にした、新たな給付制度を2029年度に本格導入することが固まった●兆円単位の恒久財源が欠かせないが、財源の議論は深まらず、先送りされた●もう一つの議題だった消費税減税は様々な反対意見があり、合意にほど遠い。撤回こそ現実的な判断だ

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中低所得者を支援する新たな給付制度をつくるのに、支える財源の議論は全く深まらない。「絵に描いた餅」にもなっていない。 高市早苗首相の指示で春に始まった社会保障国民会議では、与野党8党の実務者が、「給付付き税額控除」と、その本格導入まで2年間の「つなぎ」とする「食料品の消費税率ゼロ」を議論してきた。 消費税は自民党が衆院選で「検討加速」を掲げた公約も踏まえ、議長を務める小野寺五典・党税制調査会長が集約をめざした6月、議長案を示した。食料品の税率を8%から1%に下げ、残る1%相当分で「所得に連動したきめ細かな給付」を2027年4月から始めるというものだ。 だが、野党には様々な反対意見があり、合意にはほど遠い状況だ。高市首相は15日の党首討論で、「7月いっぱい、しっかりと多くの方が納得する議論をしてほしい」と国民会議での再考を促した。山積する課題を直視すれば、時間稼ぎをするのではなく、撤回こそ現実的な判断だ。 もう一つの給付付き税額控除も、減税と給付をどう組み合わせるのかなどの点で与野党で意見の隔たりが大きい。このため「所得に連動した給付」を29年度から新たに導入する部分だけ固め、議論の結果を16日、首相に報告した。先に決まる給付、財源は先送り 新しい給付の目的は、中低所得者の税や社会保険料負担の軽減だ。その必要性には社説も賛同してきた。ただ、現金を配る政策は「もらえるか、もらえないか」の線引きで不満が出やすい。野党からは「もらえない層」への対応を求める意見が続出した。 病気や障害などで働けない人や、働いていても税や社会保険料の負担が一定以下の人は、新しい給付の対象外だ。始まるまでに別の給付を検討することが盛り込まれた。 同様に対象外となる「就労していない高齢者」には必要な支援が適切に行き届くよう、次に年金法改正が予定される30年までに結論を得るとしている。 結局のところ、「何のために誰に配るのか」という給付の議論を先にまとめただけではないか。 「いくら配り、その元手となるお金はこう確保する」という、負担増や歳出カットを伴う財源論は、将来課題として先送りしている。 これでは、政策として評価する以前の段階だ。消費減税を議長案のように実施するなら、2年限定で約10兆円かかる。新しい給付を安定的に続けるには、兆円単位の恒久財源が欠かせない。高いハードルを跳ぶ覚悟はあるのか。新給付制度、29年度に本格導入へ 中低所得者が対象「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません