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昭和を懐かしむ番組や検証バラエティーは数あれど、「令和に足りないテレビ」(TBS系)は幅広い視聴者を当事者として巻き込む秀逸な番組だ。「失われた文化」や「普遍的なあるある」を見つめ直し、令和のものさしで読み解く。その切り口に、今のテレビならではの新鮮さがあった。(ライター・鈴木旭)当たりくじの行方今月4日放送の「令和に足りないテレビ」は、最初のテーマ「令和の駄菓子には当たりが足りない」で視聴者の心をつかんだ。チョコバットやよっちゃんイカなら袋の内側、ブタメンならフタの裏側にあった当たりくじ。あれほど子どもたちをワクワクさせた駄菓子の仕掛けが、近年なくなっているという。一体どういうことなのか。株式会社おやつカンパニーのブタメン担当・田中雅洋氏は、主な要因について番組で次のように語っていた。「徐々に駄菓子屋からスーパーマーケットであったり弊社の販路が変わってきた中で、店頭で引き換えるというオペレーション自体が難しい」。つまり、バーコード管理や無人レジの導入によって、〝当たり〟の交換そのものが立ち行かなくなった。加えて、ネットショッピングが一般化し、駄菓子がゲームセンターの景品にもなったことで、購入店舗ではない場所で交換するケースも増加。駄菓子の〝当たり〟は仕入れ時に個数が決まっているため、別の店で購入したものを交換すると経済的なダメージを被ってしまう。また、スポーツ選手やアイドルのブロマイドとの交換が法的にグレーであったことなども重なり、〝当たり〟は減少の一途をたどっていった。しかし、コアラのマーチにおける「まゆげつきのコアラ」のように、駄菓子メーカーは今の時代に則した〝当たり〟を模索し続けているという。このVTRの途中、MCの霜降り明星・せいや、ゲストの劇団ひとり、令和ロマン・松井ケムリ、松田好花、YOUが駄菓子を手に取りにぎわいを見せていた。駄菓子の〝当たり〟は、年齢や世代を問わずテンションが上がることを改めて痛感した。昭和を令和で検証あらゆる出来事を〝今の時代に足りていないもの〟として取り上げ、その理由を調査・検証し、あれやこれやとスタジオでトークする。「令和に足りないテレビ」は、そんなざっくりとしたバラエティーだ。今回は第2弾で、先述の「駄菓子」のほか、「冷めたポテトを復活させる方法」「急な便意を抑える術」「浅い関係の知人との会話のネタ」を調査・検証。普遍的なテーマでありながら、〝今なら別の方法があるか〟に目を向けてみるのが大きな特徴と言える。今年1月放送の第1弾と共通するのは、一発目のテーマが秀逸であることだ。前回も最初の「令和の曲にはイントロが足りない」で興味を引き、ひとしきりスタジオの出演者が好きな楽曲のイントロで盛り上がっていた。その後、専門家が「サブスクで飛ばされてしまう」「イントロを考える編曲家は基本的に固定ギャラでコスパが悪い」などの理由からイントロのない楽曲が増えたと考察。加えて、かつて歌番組の演出で司会者の前口上があり、〝キラキラしたイントロ〟が求められていたという解説は、昭和・平成初期のヒット曲の実情をよく言い表していた。一方で、Mrs. GREEN APPLEの大ヒット曲「ライラック」のように、今でもライブの盛り上がりを想定した楽曲はイントロが長い。今も昔も〝どこに向けた楽曲か〟でイントロの長さは変わる。そんな普遍的な課題に気付けるのも、この番組の良いところだ。この企画を大きく分類すれば、「昭和を令和のものさしで再検証するもの」に該当し、昨今の定番である昭和・平成初期を振り返る番組にも通じている。1980年代にも懐かしの特番が頻繁に放送されていたことを考えると、権利処理さえクリアすれば安定した人気を見込める企画なのだろう。ただ当時と違うのは、過去のヒット番組の要素をうまく組み合わせながら、もう一歩踏み込む姿勢だ。「令和に足りないテレビ」なら、雑学バラエティーの「トリビアの泉」(フジテレビ系)や日常で使える裏技がヒットした「伊東家の食卓」(日本テレビ系)といった番組の方向性を引き継ぎながら、現代らしい検証バラエティーへと発展させている。また、第1弾では単に「懐かしい」「普遍的なあるある」だけではなく、AI事情やLINEグループ事情など現代性も盛り込み、若者から中高年まで興味を引くテーマが並ぶ。MCのせいやは、その象徴的な役割を果たしていると感じた。若手が描く令和のテレビ番組の企画・演出は、福西諒氏。昨年、TBSに入社したばかりの若手ディレクターだ。メディアが多様化した時代、やろうと思えば個人でも制作・発信はできる。そんな中、テレビの世界に飛び込むのは、それ相応の気概が必要になってくることが想像される。若手ディレクターが早くから大型企画を任される例は珍しくない。例えばフジテレビの千葉悠矢氏は、入社2年目で企画した「超逆境クイズバトル!!99人の壁」を制作。特番を経て、2018年から2021年までレギュラー放送され、現在は「新しいカギ」や「千鳥の鬼レンチャン」といった人気番組を手掛けている。入社時から「新しい切り口」が問われ、以降は「番組として成立するか」が求められる。チャンスもあるだろうが、先鋭性と大衆性の両方を求められる、なかなかにタフな業界だ。福西氏は、それを早くからクリアしているように見受けられた。筆者の周りにいる30歳前後の若者は、「昭和はファンタジー」だとよく口にする。テレビやネット動画で昭和の映像を眺めていると、古い時代というよりも活気に満ちあふれた世界を感じて元気が湧くそうだ。昭和を懐かしむ世代と、昭和を新鮮に感じる世代。その両方が同じテーマで盛り上がれることこそ令和的なテレビであり、「令和に足りないテレビ」の最大の強みだと感じてならない。ニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel