ストーリー第2回「家族以上」の3人が向き合う現実 話し合い重ねてつくる人間関係2026年7月9日 17時00分河原田慎一印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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部員127人という大所帯の春日部共栄高校吹奏楽部。全日本吹奏楽コンクールの埼玉県大会を前にした6月下旬、全国大会に通じるA組のメンバーを選ぶ部内オーディションがあった。 このうちオーボエパートは、メンバー決めが最も難しかったという。3年生は、部長の成田愛生希(めぶき)さん、龍見とも乃さん、宮原美(み)な海(み)さんの3人。いずれも高校でオーボエを始め、A組の経験もなかった。昨年は、中学校からオーボエだった1年生がA組に選ばれた。 今年のA組のオーボエはわずか2人。1、2年生も受けたオーディションで、選ばれたのは成田さんと龍見さんだった。宮原さんはもう一つのD組に回ることになった。 メンバー発表の翌日のミーティング。宮原さんは「正直、みんなの顔を見たくないし、話したくないな」という気持ちだった。重い空気が流れる中、成田さんが口を開いた。「(オーディションは)全員が本気で頑張った結果だけど、今まで一緒にやってきた3人でのれない(本番のステージで演奏できない)ことを実感して、悲しかった」 3年生3人に大きな実力差はない。他の本番でも、トップやセカンドは常に入れ替わってきた。「家族以上に、毎日ずっと一緒」という3人は、不調に悩むときは互いに励まし合い、何でも話せるライバルとして、高め合ってきただけに、重い現実が突きつけられた。 「へこんだけど、成田は私のことまで考えてくれているんだ、というのがうれしかった」。宮原さんは再び前を向いた。 宮原さんには、D組の木管コンサートマスターとしての重責が任された。「今まで周りのことをいかに考えていなかったか、と思う」。部長という重責を糧にして、人間的にもオーボエの技術も成長した成田さんを「人間的にすごく尊敬する」と語った。 でも、やっぱり悔しさもある。D組が演奏する曲もA組の自由曲と同じ「ラ・メール」。メンバーが入れ替わるオーディションが今後、開かれる可能性もある。「ソロもA組と比べられる。『自分を疑う』姿勢を忘れず、毎日を100%でやりきりたい」と闘志を燃やす。 龍見さんも「3人で試行錯誤しながら、伸びていくしかない。自分としては、一つ一つの音の魅力や響きを、磨き上げたい」と語った。 127人の部員が「ワンチーム」となっていい音楽をつくるには、コミュニケーションを通じた人間関係が大切だ。顧問教諭の織戸祥子さん(38)は部員にそう伝え、常に「話し合い」をするよう求めてきた。 どんな時も、話し合ってわかり合う。オーボエの3年生3人の最後の大舞台に向けた切磋琢磨(せっさたくま)は続く。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






