深掘り南シナ海、人工島の建設競争 大国に翻弄される中小国、有事への備えシンガポール=加藤あず佐印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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「力こそ正義」とばかりに振る舞う大国に、中小国が翻弄(ほんろう)されている。5月末にシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」では、参加した首脳らから、国際秩序の危機が叫ばれた。大国が「法の支配」を軽んじる現実が、アジア各国を有事への備えに駆り立てている。 「国際秩序の危機は、国際法が一貫性なく適用され、力こそ正義という論理に弱者が従属させられるときに始まる」 ベトナムの最高指導者、トー・ラム共産党書記長兼国家主席は、5月29日の基調講演でこう強調した。アジア太平洋地域が「戦略的競争の舞台」になっていると指摘。法の支配と対話を重んじ、緊急時にも相互に対話を維持することが重要だと訴えた。 発言は、中国などと領有権を争う南シナ海をめぐる問題を念頭に置いたものとみられる。ラム氏は「海洋が威圧や対立の場となれば、いかなる国にとっても利益にはならない」と発言。南シナ海について「ベトナムは国際法に従い、自国の主権を堅持し続ける」と訴えた。 ラム氏の講演は、「中小国の思いを代弁したものだ」として賛同する声が広がっている。タイの国際政治学者は「大国の責任ある関与を望み、地域の協調を訴えたことを、どの国も支持するだろう」と述べた。 ただ、ベトナムは法の支配と対話の重要性を訴える一方で、力を振りかざす大国に対応するための現実的な備えも進めている。中国などと領有権を争う南シナ海の岩礁を埋め立て、海洋進出を進める中国に対抗する姿勢も見せている。ベトナムも埋め立て加速 弾薬庫や滑走路を建設 米戦略国際問題研究所(CSIS)は、ベトナムが中国や台湾、フィリピンなどと領有権を争う南沙諸島で、21の岩礁を埋め立て、弾薬庫や港湾を建設していると指摘する。特に大規模な埋め立てが進んだバーク・カナダ礁では、三つの弾薬庫と滑走路が建設されたという。 5月時点で、ベトナムが埋め立てた人工島の総面積は計約2771エーカー(約11.2平方キロメートル)に及ぶ。東京都千代田区に相当する大きさだ。 中国も最近、ベトナムや台湾と領有権を争う西沙諸島で大規模な埋め立てをしており、南シナ海における人工島の総面積は、約5460エーカー(約22.1平方キロメートル)に及ぶ。CSISは、中国の規模には大きく劣るものの、25年上半期に見せたベトナムの埋め立てのペースは特に速く、「中国に追いつきつつあるように見えた」と指摘する。 いまのところ、中国側がベト…この記事は有料記事です。残り591文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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