インタビュー性被害への対応、怠ればビジネス上のリスクにも 企業は何をすべきか伊藤舞虹印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

[PR]

職場内で性被害が起こった場合、事業者は加害者と被害者の対応を同時に迫られることになります。どう対応すればいいのでしょうか。性暴力被害者の支援に取り組んできた伊藤和子弁護士に聞きました。上司からの性暴力、でも退職したのは私 「なぜ」処分後も続いた苦悩「あれ以来、苦しみの中に」同僚の性暴力が残す傷 救済に程遠い判決 ――職場での性被害について相談された際、被害者と加害者の言い分が食い違い、判断に迷う事業者も多いようです。 まず性行為というのは、事前に、明確に、相手の同意があることが大前提で、同意がなければしてはならないというのが基本です。 なので、加害者が「同意があったと思い込んでいた」みたいなケースは絶対にダメですよね。できる限り丁寧に聞き取りをした上で、どちらの言うことが信用できるか、同意の上での性的行為なのかを、事業者として明確に判断すべきです。専門性がないから判断できない、というのは言い訳にはならないと思います。 ――被害者が警察に相談していた場合、事業者が捜査の結果にのっとって判断することは妥当でしょうか。 刑事事件の起訴・不起訴だけに依拠して判断するべきではありません。起訴されないケースの中にも、被害者を保護すべき事案があるからです。 2023年7月の刑法改正で「強制性交罪」が「不同意性交罪」になりました。改正前は、強い暴行や脅迫が伴わなければ立件することが難しく、起訴に至らないケースについても、刑事責任とは切り離してセクハラに当たるかどうかが当然問題となっていました。 不同意性交罪では、被害者が同意しない意思を形成・表明・全うするのが困難な状態にさせて性的行為に及べば罰せられることになりました。暴行・脅迫のほか、アルコール・薬物の影響や地位などを利用し、相手が同意しない意思を示せない状態で性行為に及んだ場合も処罰の対象となります。 強制性交罪では裁けなかった性的行為が処罰の対象となった反面、検察が起訴に踏み切らなかった場合「そもそも被害自体がなかったのではないか」との誤解が生まれやすい側面があります。 しかし、刑事事件は民事事件より立証責任が重いため、検察には、性行為があったことと、同意がなかったこと、加害者に故意があったことについて、合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証が求められます。性行為があったことの客観証拠がない、加害行為は明らかだが加害者に故意がなかった可能性が疑われるなどの理由で、起訴を見送る事案もあります。 さらに、刑事罰を科すほどではないと判断して起訴猶予になるケースも少なくありません。検察にもっとちゃんと起訴してほしいという問題はあるのですが、検察が起訴しないことで、性被害やセクハラ自体もなかったかのように扱われるケースが増えているとすれば、由々しき問題だと思います。加害者の処分、どう考える? ――法的判断に迷う際、顧問…この記事は有料記事です。残り1703文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません