2026年8月9日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●NHKの性被害問題はフジテレビ問題とも重なる深刻な事態だ●外部専門家の報告書で明らかにされた組織内の対応は、性被害に無理解でお粗末●報告書の趣旨などは発表文書で4枚で、全職員調査の結果も未公開。より開かれた形で改革を
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業務に関連した性被害が起き、不適切な対処が状況を悪化させる。フジテレビ問題とも重なる深刻な事態だ。 NHKは5日、過去に職員が番組出演者から性被害にあい、組織内の不適切な対応でさらに負担を負わせる事案があったと発表した。被害は番組後の懇親会の後に起きた。休職後、記憶がフラッシュバックするため別の職場での復職を希望し、産業医らもそう提案したが、「現所属での復帰が原則」などと認められなかった。異動できたのは被害から3年あまり後だ。 経営陣が状況を把握したのは、2025年4月に労働組合を通じて「異動希望がなぜ実現されなかったかを確認したい」との申し入れがあってから。翌月に専門家による調査検討委員会を設置し、約1年後に報告書を受け取った。 報告書の趣旨などを4枚で記した発表文書からは、二次被害とも呼ぶべきお粗末な対応が浮かぶ。相談を受けた関係者の間では、被害後の症状への理解不足から、性被害の事実への「懐疑的な見方が発生・継続」した。職員への配慮を優先に処遇を考え、汗をかく者はなし。深刻な人権侵害と認識せずリスク対策担当部局への報告も怠った。 番組出演者には当該職員と接触を避けるよう、申し入れたという。「飲酒のため記憶がないが、そうした事実があったのであれば申し訳なかった」旨話しているそうだ。視聴者が納得できる説明を 人権に配慮した組織運営に疑念を持たれる事案だ。個人情報に関わらぬ点について、公共放送としてより詳しく視聴者に説明する必要がある。しかし、個人情報と無関係の報告書のページ数さえ非公表なのは不誠実だ。問題の把握から公表まで1年3カ月以上、情報開示もない。人事局などの担当者5人には役員が注意したが、調査結果を受けたNHKの対処が十分かや調査自体の適切性は、発表情報だけでは判断できない。 フジ問題発覚後の記者会見で当時の稲葉延雄会長は、NHKでは「そうした問題は生じていないと判断する」と述べていた。自分では自分の問題は見えにくい。昨夏に全職員にフジ問題と同種事案の有無などを確認する調査をしたが、結果は公表していない。 内向きの体質をどこまで改められるのか。NHKは報告書の提言も踏まえ、「人権尊重の組織風土づくり」を掲げて苦情救済窓口の設置や研修での反省点の共有などに取り組む、とする。ただ、情報を過剰に伏せ、改革を促す外からの目を閉ざし続ければ、人権意識を根付かせられるかはおぼつかない。NHK職員、番組出演者から性被害 別職場での復職も認められず「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






