コラム・寄稿品位、誠実さ、繊細な状況を読み解く力 イングランド監督の物語解説者印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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サッカーW杯 ベン・メイブリーの目 イングランドはグループリーグL組を危なげなく突破した。初戦でクロアチアに4―2で勝ち、第2戦で引き分け、最終戦で必要な結果を得て首位通過する。おなじみの流れである。 Ben Mabley。1983年生まれ。英国出身。オックスフォード大で日本学を専攻。2012年から日本で海外サッカー番組に出演し、14年からプレミアリーグ中継の解説を担当。3歳だった1986年メキシコ大会からW杯を見続けてきた。著書に「プレミアリーグ全史1~3」(平凡社)。 うまくいっているが、0―0だったガーナ戦と2―0だったパナマ戦で3ハーフ連続無得点に終わると、一部からは批判の声も上がった。英国有力紙の記者は、後者の試合内容を「まぎれもなく悪かった」と評した。ニューヨークのスタジアムを後にするサポーターの中には、監督交代を求める声すらあった。あまりに悲しいW杯 何を祝うべき大会か ベン・メイブリーさんの目 それでもトーマス・トゥヘルは、いつも通り動じなかった。試合後の取材対応では、意識を研ぎ澄ませながらもリラックスした様子で、笑顔を見せていた。 大会を「三つの章」と表現した。大会前のフロリダでの親善試合で暑さ、湿度に順応すること。グループステージ。そして、いよいよ始まる決勝ラウンドという本題である。ワールドカップ(W杯)制覇への道を三幕構成の物語として語る姿は、前任者サー・ギャレス・サウスゲートのマネジメントを強く思わせた。 サウスゲートの時代を描いたテレビドラマ「ディア・イングランド」には、広報担当者がイングランド代表監督の国民的注目度について、国王と首相に次ぐ存在だと語る場面がある。冗談めかしたセリフだが、ほぼ事実だ。2018年大会で準決勝に進み、欧州選手権で2度の準優勝を果たしたサウスゲートの大きな成功は、分裂していたイングランド代表だけでなく、緊縮財政、ブレグジット、コロナ禍のロックダウンで分断された国民をも一つにまとめたことにあった。分断をあおる言葉、失敗、不名誉によって記憶される保守党の首相が相次いだ時代に、サウスゲートは人々に寄り添い、人々が誇りを持てる象徴だった。 代表史上3人目の非イングラ…この記事は有料記事です。残り1073文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
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