インタビュー「はやってない」繰り返す先に 岸田賞受賞の蓮見翔が願う演劇の未来前田健汰印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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演劇とお笑いの境界を越えた活動が注目を集め、どちらの公演のチケットもすぐに売り切れてしまう8人組「ダウ90000」。主宰で脚本や演出を務める蓮見翔さん(29)にとっては、演劇もコントもあまり変わらない。「人に笑って欲しい」一心で、書き続けている。 「二刀流」は、毎日のように見聞きする言葉になった。二兎(にと)を追える時代の挑戦は、どっちつかずの危険と紙一重。だから賞が欲しかった。 演劇とコントという似て非なる創作物を作り続け、活動6年目の今年、作品が「演劇界の芥川賞」と言われる岸田国士戯曲賞を受賞。選考委員の野田秀樹は「蓮見翔氏のコトバも紛れもなく『たいへんな才能』」と評した。7月にはABCお笑いグランプリの決勝に出場する。 主宰するダウ90000の肩書は「8人組」。劇団ともコント集団とも名乗らない。8人が出てきて演劇をやったり、コントをやったり。境目のない活動は若い世代を中心に支持され、2023年にはフォーブスジャパンの「世界を変える30歳未満」の一人に選ばれた。 縛られない名称は、実は自信の無さからだ。「コントをやりたいけど自分たちが芸人のように名乗るのはおこがましいと思ったんです」受賞作「ロマンス」に込めた思い 20年9月に旗揚げし、2年後にはお笑いの賞レース決勝の舞台に立っていた。コントや漫才が評判を呼び、演劇公演の客席も埋まった。 それでも、賞レースに出れば「劇団が入ってくるな」と言われ、演劇の評価は「コントみたい」。どちらかにしないと受け入れてもらえないと悩んだ時、テレビの関係者や先輩芸人の目にとまって、取り上げられた。「続けていたら、立ち位置を許してもらえた」。面白がってくれる存在に救われた。 さまぁ~ずにハマり、ラーメンズに憧れた青年にとって、目の前の観客に笑ってもらうことが全て。それで良かったコントと違い、演劇では「テーマがない」と突き返されることも多かった。岸田賞では最終候補作に過去2回選ばれたが、似たような理由で受賞を逃した。 今年受賞した「ロマンス」は脚本家や漫画家たちの物語。自分の全体重を乗せて、賞をとりにいった。「なにか作品を作っている人たちを励ましたいのはあった。今って創作活動に厳しすぎる。大丈夫、もっと好きに書いていいんだよって」。作品に込めて伝えた。伝わった。 テレビで繰り返してきた「演劇は、はやってない」「お笑いは、はやってない」の言葉はもはや代名詞だ。盛り上げ、かっこいい演劇界にするために。5月11日、岸田賞の授賞式でも「みなさんも一緒に、はやらせてください」と呼びかけた。 目指す演劇界の姿は?…この記事は有料記事です。残り2502文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません