(後藤正文の朝からロック)資本主義の窪地で、迷いながら2026年6月28日 5時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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2回目の「ミュージック・アワーズ・ジャパン」の授賞式が行われた。このアワードは、新しい世代を育成するためのプラットフォームであり、日本の文化やコンテンツを世界に発信する役割を果たすための国際音楽賞だという。 讃(たた)えられる機会の少なかったコンサートの音響やステージに関わるスタッフを讃える部門もあり、そうした賞の設計を素敵だと思った。一方で、主要部門は大きなヒット作品を持つアーティストで占められ、私たちの音楽賞と呼ぶには少し眩(まぶ)しいと感じたのが正直な感想だ。 授賞式の前週に、静岡県藤枝市で立ち上げた音楽家支援のためのNPOの会議に出席した。制作費の捻出に苦しむバンドやミュージシャンを支援すべく、高性能な機材を安価に使える滞在型のスタジオを建設し、今年の3月にようやくオープンすることができた。会議では、今後のビジョンと目的について、仲間たちと話し合った。 本来ならば、多くの支援者を見つけて、すべての人に無料で開かれた施設になるのが理想だろう。しかし、利用料が無料のスタジオを作ると、他のスタジオに影響が及ぶ。資本主義の窪地(くぼち)のような場所でコモンズ(共有の財産)を作ろうとすることが、かえって資本主義的な価格競争を煽(あお)ってしまって、音楽に従事する仲間たちを苦しめるのでは本末転倒だろう。支援の妥当な規模と程度を考えるのは、本当に難しい。 「ネガティヴ・ケイパビリティで生きる」という本を読んだ。一問一答型の問題解決を求められる社会のなかで、立ち止まってモヤモヤと考える力を再評価しようという著者たちの思索は、この時代に相応(ふさわ)しい考え方だと感じた。逡巡(しゅんじゅん)しながら、微調整を続けていくこと。それはアワードやNPOの公的責任だと思う。華やかなステージの上だけでなく、町々の音楽制作の現場にも、豊かな未来が訪れることを望む。(ミュージシャン) ◇毎月第4日曜日に掲載します。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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