2026年6月27日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●高市政権が、官民で370兆円超を投資する成長戦略と、予算編成の改革を打ち出した●経済成長と財政健全化を実現させたい考えだが、戦略17分野は総花的だ●成長分野の見極めは難しく、政府の直接的な産業支援では苦戦が続く。失敗を繰り返してはならない

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高市政権にとって初めてとなる、経済財政運営の基本姿勢を示す「骨太の方針」の骨格が見えてきた。官民で370兆円超を投資する成長戦略と、予算編成の改革が柱だ。 政府の投資を呼び水に民間投資を増やし、経済成長と財政健全化を実現させる未来を描く。だが、戦略17分野は62の製品・技術と幅広く、総花的だ。投資効果も見通しにくい。政府は、企業が資金を投じにくい分野への支援や、財政規律を保つ役割を忘れてはならない。描く成長と財政健全化 17分野はAI(人工知能)・半導体、創薬・先端医療、ゲームをはじめとするコンテンツなど。投資額の内訳は示していないが、国は年10兆円の追加支出を「機械的に想定」する。戦略を公表した会合で高市早苗首相は「行き過ぎた緊縮志向と未来への投資不足の流れを断ち切り、強い経済を目指す」などと20分以上発言し、意義を強調した。 戦略が期待通りに進めば、成長率が高まり、財政も改善すると内閣府は試算する。一方で、その見通しに「種々の不確実性を伴う」と前提をつけた。政府が投資を増やせば「機械的に」産業が成長し、強い経済ができるわけではない。「機動的な財政政策」を掲げた第2次安倍政権では、2%の実質成長率を目指したが、1%程度と下回った。産業支援の苦い歴史 政府による直接的な産業支援は鬼門だ。電機大手の半導体メモリー事業を統合したエルピーダメモリは経営破綻(はたん)し、「日の丸液晶」として期待されたジャパンディスプレイは債務超過に苦しむ。最近も、政府が約9割を出資する官民ファンドの海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)で、540億円の損失が発覚した。 成長分野を見極めるのは難しい。17分野には、競争が激しく日本が出遅れるAIや量子、かつて世界トップの建造量だった造船も含まれる。企業の成長を支える技術革新や新たなアイデア、基礎研究の底上げや人材育成などとあいまった支援が欠かせない。 17分野は、各省庁の予算要求額に上限を設けない。同時に予算編成のあり方を見直す。単年度の財政目標をなくして複数年度で管理するようにする。複数年で巨額の戦略投資ができるよう、財政目標を緩め、足並みをそろえた。 先進国で最悪水準にある日本の財政へ、金融市場の目は厳しい。成長投資が伸びず、財政が悪化すれば、金利の上昇や円安、物価高の要因になり、国民生活や企業経営に大きな影響が出る。政府はリスクも見極め、失敗の歴史を繰り返してはならない。クールジャパン機構、累積損失500億円超 政府が廃止など検討へ「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません