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天台証門宗総本山の大雲寺(京都市左京区)は風光明媚(めいび)な洛北の岩倉地域にある。大雲寺の仮本堂。本尊・十一面観世音菩薩像がまつられている=京都市左京区、平野圭祐撮影 平安時代に円融天皇の命で創建された名刹(めいさつ)で、「源氏物語」の主人公・光源氏が終生の伴侶となる若紫と出会う「北山のなにがし寺」のモデルとも言われる。最盛期には49の堂塔伽藍(がらん)があったという。 2025年秋、秘仏の本尊がおさまる仮本堂の厨子(ずし)の扉が江戸時代以来335年ぶりに開かれた。 公開された半年間に約1万人が訪れ、ほのかな明かりに照らされた本尊の十一面観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)像に手を合わせた。奈良・長谷寺の本尊と同じく、右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に水瓶(すいびょう)を持ち、四角い台座に立つ「長谷寺式」の像だ。江戸時代以来335年ぶりに御開帳された本尊・十一面観世音菩薩像=京都市左京区、平野圭祐撮影(通常非公開、特別な許可を得て撮影しています) 本尊は、奈良時代に東大寺大仏の造立に協力した僧侶・行基の作と伝わる。頭上にあるはずの11の顔は、室町時代の戦乱で焼損し、その姿に心を痛めた正親(おおぎ)町天皇によって秘仏になった。 焼けた本堂は江戸時代に再建された。後西(ごさい)天皇の皇子・義延(ぎえん)法親王が寺に入り、1690年に4カ月間、本尊が公開された。 頭部は焼けたが、尊い顔や全…