視点・解説青山直篤=フランス東部エビアン 小暮哲夫 エルサレム=遠藤雄司印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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米国とイランが合意した14項目の覚書の内容が公表された。ホルムズ海峡の封鎖で世界を混乱に陥れ、中東地域に甚大な被害をもたらした戦闘の終結に向けた今回の覚書をどう見たらいいのか。米国、イラン、イスラエルの立場から、各地の記者が解説する。【米国】「火消し」優先、堂々巡りの議論 アメリカ総局員・青山直篤 イランに譲歩しすぎたのではないか――。覚書の内容をめぐりトランプ大統領に付きまとう批判だ。これを強く意識してか、トランプ氏は主要7カ国首脳会議(G7サミット)の終了後の会見で、「もしイランが合意を破ったら、めちゃくちゃに爆撃してやるだけだ」と述べ、何度も「爆撃」という言葉を繰り返した。 今回合意した覚書は、イランによるホルムズ海峡の実質的封鎖に手を焼いた米国が、まずはその「火消し」を最優先し、核問題などの難しい交渉を棚上げにする内容だ。米国は圧倒的な軍事力を背景にイランへの先制攻撃に踏み切ったにもかかわらず、逆に、攻撃前には考えられなかったようなイランにとっての「アメ」も盛り込む羽目になった。 その代表格が「イランの復興と経済発展のため少なくとも3千億ドル(約48兆円)を確保する」とした条項だ。この案が取りざたされていた時から、トランプ氏の共和党からも「ナチスが支配するドイツに(戦後復興資金の)マーシャル・プランを送るようなもの」(グラム上院議員)との声があった。 これに対し、トランプ氏や電話会見をした政権高官らが強調したのが、経済制裁の解除などを含むイラン側への「アメ」は、イランが合意を守らない限り空約束になる、という論法だ。 トランプ氏は復興資金について「我々が何かするわけではない、金は与えていない」と強調。バンス副大統領はCBSで「湾岸諸国によって拠出される可能性がある」と述べ、富裕なアラブ諸国に負担させる考えを示唆していた。 2015年の「イラン核合意」まで数年かかった核問題の交渉を、60日間でまとめるのは極めて難しい。トランプ政権高官は「向こうが長引かせる気なら激しく圧力を加えるだけだ」と攻撃の再開をほのめかした。 しかし、これは堂々巡りの議論になる。 イランにとってホルムズ海峡の実質的封鎖という「切り札」は、昨年6月、今年2月と米国から立て続けに受けたような攻撃を避けるための「抑止力」になった。米国が攻撃を再開する気なら、再びこれを持ち出すことになる。 覚書ではイラン側の意向を踏まえ、海峡の無料通航の期間が「60日間」と限定されている。イランがこの切り札を使い、米国や世界経済を脅かすリスクも根強く残る。【イラン】譲歩と見返り、今後の協議に 中東アフリカ総局員・小暮哲夫 イランは、戦闘終結に向けた米国とのやりとりのなかで、ホルムズ海峡の管理や核問題では譲らず、経済的な恩恵を勝ち取ることを目指してきた。覚書はその可能性を示す一方で、多くが今後の協議次第、という内容になっている。 ホルムズ海峡をめぐってイランは、開放した後も戦闘開始前の状態には戻らず、対岸のオマーンとともに通航を管理すると主張してきた。 覚書では、将来の管理についてオマーンと対話しながら進めると明記されたものの、周辺の湾岸諸国とも協議することになっている。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などと対話が必要となるとみられる。 だが、今回の戦闘でイランは…この記事は有料記事です。残り1322文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人青山直篤アメリカ総局員専門・関心分野米国、国際政治・経済、日米関係、近代史小暮哲夫中東アフリカ総局員専門・関心分野中東、オセアニア、東南・南アジア、多文化社会関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする








