2026年6月16日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●日本銀行が、政策金利を「1.0%程度」に引き上げることを決めた●混迷が続いた中東情勢を背景とする原油高や円安で、国内の物価が大きく上ぶれするリスクは高まっている●なお緩和的な水準にある政策金利の調整を、着実に進めていく必要がある

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混迷が続いた中東情勢には沈静化の兆しもみえるが、この間の原油高や円安によって、国内の物価が大きく上ぶれする恐れは増している。日本銀行は、景気への影響に注意しつつ、なお緩和的な水準にある政策金利の調整を着実に進める必要がある。 日銀は16日までの政策会合で、政策金利を「0.75%程度」から「1.0%程度」に引き上げた。約31年ぶりの高い水準となる。4月の前回会合では、中東情勢を理由に利上げを見送っていた。 入院中の植田和男総裁に代わって記者会見した内田真一副総裁は、物価が一時的な要因を除いても、日銀の2%目標を超えて「上ぶれていくリスクがある」と語った。 足もとで2%を下回る消費者物価は、政府のガソリン補助金などで抑えられている。原油高や1ドル=160円前後への円安進行で、輸入品や企業間で取引される商品の価格は再び急騰している。米国とイランの戦闘終結に向けた合意は朗報だが、ホルムズ海峡経由のエネルギー輸送がすぐに元に戻るとは限らない。 国内では、4年にわたって消費者物価の2%超えが続いた。企業や人々がさらなる物価高を予想し、インフレが加速するリスクは高まっているとみるべきだ。インフレに後手に回るな 米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行の政策金利は、景気を刺激も抑制もしない「中立金利」の推計値の範囲内にある。日銀は今回の利上げ後も、推計値の下限にわずかに及ばない。物価の上ぶれを警戒する一方で、緩和的な金融環境を維持し続けるのは理屈に合わない。景気に中立的な水準を見極めながら利上げを進めることが重要だ。物価高に対し後手に回ることはあってはならない。 気がかりなのは、住宅ローンや企業向け融資で指標になる長期金利の急上昇だ。植田総裁は3日の講演で、最近の上昇には「市場のインフレ予想の上ぶれが寄与している」と指摘した。物価高が見込まれると、それに見合う高い利回りを投資家は求め、長期金利は押し上げられる。 政策金利の引き上げは、直接には長期金利の上昇要因になる。だがいまの局面では、利上げを進めてインフレへの懸念を抑えられれば、長期金利の安定につながり得る。 日銀は今回、毎月買い入れる国債の減額を来年度から止めることも決めた。国債市場の安定を重視したという。ただ、積極財政を掲げる政府への配慮と受け止められれば、日銀の信認が揺らぎかねない。十分な説明と透明性の高い運用が求められる。【そもそも解説】政策金利1.0%に 仕組みは? どこまで上がる?「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届します。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする