【社説】米イランが戦闘終結へ「覚書」に合意 緊張緩和への一歩に2026年6月15日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●米国とイランは戦闘終結に向けた交渉で合意した。19日に覚書に調印する予定だ●世界経済に打撃を与えてきたホルムズ海峡の封鎖が解かれることは歓迎する●イスラエルがレバノン攻撃を続ければ、今後の動きに悪影響を与える。避けねばならない

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半世紀近くに及ぶ怨念と対立を乗り越え、中東の平和と安定につなげられるのか。先行きは不透明だが、着実な歩み寄りを期待する。 米国とイランの戦闘終結に向けた交渉について、仲介役のパキスタンは日本時間15日朝、「和平合意」に達したと表明した。トランプ米大統領も認め、イランも米国との覚書を最終決定したと確認した。19日にスイスで正式な署名式典を開く運びだ。 覚書の中身は公表されていない。だが、イランはホルムズ海峡の事実上の封鎖を解き、米国もイランへの海上封鎖を解除するという。 世界の石油と液化天然ガスの2割がこの海峡を通る。イスラエルと米国によるイラン攻撃が招いた海峡の封鎖は3カ月を超え、日本を含め各国の経済に深刻な打撃を与えている。事態が改善されるなら歓迎したい。 米国とイランは、長い敵対の歴史を持つ。親米政権が倒れた1979年のイラン革命後に断交した。米国はイランを狂信的な神権国家だと批判し、イランは米国を「大悪魔」と呼んだ。 昨年6月、米国はイランの核関連施設を空爆し、破壊した。今年2月末にはイスラエルと共同で軍事作戦を行い、イランの最高指導者らを殺害し、武力の応酬が続いた。 4月上旬に停戦したものの、その後の交渉は難航した。散発的に武力衝突が起きるなど、中東は全面戦争に戻りかねない危機感に覆われていた。今回の覚書によって緊張緩和が進むことを望む。 ただ、イランの核開発を制限するなどの難題は、先送りされたとされる。トランプ氏は、イランが核をめぐる最終合意に応じなければ、攻撃再開の可能性もちらつかせる。武力衝突が再燃しないことが保証されたわけではない。 まずは、予定通り正式な署名にこぎ着けることが肝要だ。その点で気がかりなのがイスラエルの動きだ。 パキスタンによると、米イラン双方は、レバノンを含む全ての戦線での「即時かつ恒久的な戦闘停止」を宣言したとしている。 だが、イスラエルは14日にもレバノンの首都ベイルート近郊を空爆した。イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラによる攻撃への報復だとしているが、米イランの交渉を妨害する意図が透けて見える。 レバノンでの戦闘が続けば、危険な火種を残すことになる。米国はイスラエル、イランはヒズボラに対してそれぞれ影響力を行使し、自制を促す責務がある。トランプ氏、一転譲歩した可能性 米イラン合意の裏側と残された火種「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする