ストーリー第13回「次の子も」…かつて拒絶した女性医師に託した母親 溶け始めた心ノンフィクション作家・下山進印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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第7章 薫の心の氷が溶ける受け入れられなかった我が子と病院を受け入れる原動力になったのは、こども医療センターの小児科医黒澤健司の献身的な医療だった。産科の山中美智子への感情もかわっていく。 一実(かずみ)を生んだ篠岡薫(ささおかかおる)の気持ちに変化が訪れたのは、神奈川県立こども医療センターで、一実の担当が、新生児科から遺伝科にかわって、黒澤健司が担当医になったことが大きかった。 黒澤に担当がかわる前の新生児科の医者は若い女性で、「ヤンキーみたいな人」(薫)だった。コールをしても、「呑みに行っていません」と看護師が正直に伝えてくれたこともあった。 薫と夫の実は、一実がようやく退院できるようになってからも、神奈川県立こども医療センターのことを信頼しているわけではなかった。二人は病院では腫れ物に触るかのような扱いで、二人が一実をつれて病院にいくと、看護師が何人も待っており、診察する科、診察する科ついてまわっていた。 そんなことがあって足も遠のきがちだったころ、一実が40度近い熱を出したことがあった。近くの大きな小児科の病院に行ったが「うちではこんなひどい子は診れません」と言われてしまった。 一実は首も据(す)わらずにいたが、普通の小児科では診てもらうこともできないのか。薫は途方にくれたが、そのとき、神奈川県立こども医療センターで新しく担当になった医者の名字が思い浮かんだ。 下の名前はわからないまま、病院に電話をすると、黒澤本人に電話がつながり、「すぐ来て」と言ってくれた。 そして診察のときに黒澤はこ…この記事は有料記事です。残り5004文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする