コラム・寄稿イカナゴの暮らす豊かな海とは 魚を追いかけずに待つ関係のすすめ長沢美津子印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
[PR]
記者コラム「多事奏論」 くらし科学医療部(大阪)記者・長沢美津子 考えてみれば当たり前のことに、その場に立って気づけることがある。 「イカナゴを食べるのは、人間だけじゃないんでね」 瀬戸内海の播磨灘で、大きく減ったイカナゴの復活を目指すJF兵庫漁連を取材した日、沖まで船を出してくれた会長の田沼政男さん(72)が、そう言った。「ヒラメもサワラも、みんなイカナゴを餌にしている。数が増えることは、この海全体を豊かにする」のだと。 「人間だけじゃない」という言葉を、海と生きてきた漁師さんから海で聞く。自分のなかにあった、食べるのは「人間だけ」だという無意識がひっぱり出される。魚は生きものか、食べものか。穏やかな波に揺られながら、「どっちもだ」と考える。 到着した鹿ノ瀬という海域は、強い潮の流れが砂を運んで、複雑な地形を作っているという。のぞき込んでも見えなかったが、浅瀬にプランクトンがわいて、小さな生きものが育ち、それを狙う大きな魚が集まる。そのまま自然の物語だ。 銀色でひょろりと長いイカナゴは、東日本ではコウナゴの名でおなじみか。イワシと同じく大量にいることで、沿岸の食物連鎖を土台で支える。その土台が危うい。この日は産卵数が増えるように肥育したイカナゴを、海に帰した。無事に砂に潜ってくれるよう、祈るしかない。 昭和の頃の関西の郷土食の本…この記事は有料記事です。残り820文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人長沢美津子くらし科学医療部|大阪駐在 食担当専門・関心分野食と社会、料理、生活文化関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







