ストーリー脳卒中後、娘の名前を間違えた夫 孤独だった妻に「うちと一緒!」編集委員・武田耕太印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
[PR]
東京都の柴本礼さん(63)の夫コウジさん(64)が、くも膜下出血で倒れたのは、2004年9月のことだった。 コウジさんは当時43歳。MBA(経営学修士)を取得し、金融関連の会社を起業して約1年。早朝6時に家を出て、深夜に戻ってくる生活が続いていた。 職場で倒れ、病院へ。手術は成功したが、入院中からおかしな言動が多かった。自分のことを「医者だ」と言ったり、仕事とは無関係の知人に「会社を頼んだ」と言ったり。当時7歳だった長女の名前も間違えた。 「高次脳機能障害が残るかも」。礼さんは医師からそう告げられた。脳卒中や交通事故などの後遺症で、記憶力や注意力が低下する障害だ。だが耳慣れない言葉で、すぐに理解することはできなかった。 リハビリが始まっても、様子は変わらない。字を間違え、簡単な計算ができない。「いまは混乱しているだけ。退院すればもとに戻る」。そう信じていたが、3カ月後に退院すると、異変が目立つようになった。 リハビリのために病院に行っても、受付と部屋の場所を覚えられない。道順がわかるように要所要所の写真を撮って持たせても、その写真がかばんの中にあるということを思い出せない。 「昔住んでいた家が近くにあるはず」。そんな家はどこにもないのに、突然口走って夜中に外に飛び出したこともある。急に怒り出したり、泣き出したりと、感情の抑制もきかなくなった。 30年分の多額の住宅ローンが残っていた。保険会社に申請したが、高次脳機能障害に保険はおりなかった。「こんな家族、みてやるもんか」 耐えきれず家を出た そもそも起業したばかりで…この記事は有料記事です。残り2086文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人武田耕太編集委員専門・関心分野医療・健康、こども政策関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






