この社説のポイント●部活の顧問から暴言などを受けた生徒が自ら死を選ぶ例が相次いでいる●まずは生徒を守ることが重要。不適切指導の通報があれば直ちに指導から外す岩手県の措置は参考になる●自覚に欠けた指導者でも「不適切指導は損」と言動を変えざるをえない策が必要だ
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部活の顧問から暴言などを受けた生徒が自ら死を選ぶ例が後を絶たない。異常事態と捉え、歯止めをかける方策を幾重にも講じる必要がある。顧問が大声で繰り返し叱責 「指導死」と認定 新潟県立高の柔道部の男子生徒が2024年に自殺し、今年4月、第三者委員会が報告書を公表した。顧問は、試合後にあいさつせず帰ったなどとして生徒を大声で繰り返し叱責(しっせき)。報告書は「権威的かつ過度な指導」で自殺に至った「指導死」と認定した。 部活指導については、12年に大阪・桜宮高バスケットボール部の生徒が顧問の暴力・暴言で自殺した事件を受け、体罰に加え、人格否定や威圧的な発言など言葉の暴力も許されないとのメッセージが、国などから発信されてきた。 だが、18年に岩手のバレーボール部、20年に福岡の剣道部、21年に沖縄の空手部、22年に愛知のソフトボール部、そして24年の新潟と、言葉で追い詰められた高校生の自殺が続く。「使えない」「お前はもういらない」。そんな言葉に生徒たちは、自身の尊厳や部活で成長する機会、その先の未来を奪われていった。無記名アンケートで、可視化も抑止も まずは生徒を守る措置が重要だ。岩手県は、不適切指導の通報があった場合、内容が不自然でない限り顧問を直ちに指導から外す制度を24年度に始めた。正式な処分ではなく、顧問が反論する機会は別途設けられる。生徒の安全の迅速な確保と慎重な調査を両立できる実用的な策だ。 併せて、生徒が部活での悩みを相談しやすい窓口も整えなければならない。 指導者向け研修は今後も充実させたい。ただ、新潟県の報告書は、不適切指導は本人の自覚が欠けている場合が多く、「個人の内省による自浄作用には限界がある」とも指摘する。複線的な対策が急務だ。例えば新潟県教委は不適切指導の有無を尋ねる無記名アンケートを実施した。抑止効果も期待でき、全国で取り組む価値はあるだろう。不適切指導を温存する構造、なくす策を 競技成績向上のために指導者の暴言などを許容する風潮は根強く残る。保護者らの支持のもと不適切指導が温存され、疑問に感じた部員がいても「チームに迷惑がかかる」と沈黙を強いられる。そんな構造をなくすには、自覚に欠けた指導者も「不適切指導は損」と行動を変えざるをえない策を検討することが求められる。例えば、試合会場で暴言が確認されたら、その指導者の出場資格に影響を与えるルールは導入できないか。 夏の大会に向けて、指導に熱が入る時期だろう。だが、言葉がときに生徒を死に追い込んできた事実を、指導者は決して忘れないでほしい。監督が怒らなくても全国制覇 大会10年、益子直美さんの迷いと確信【悩みの相談先】スポーツにおける暴力・ハラスメント等相談窓口一覧(スポーツ庁サイト)https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop10/list/1412106.htmNPO法人ライフリンク「生きづらびっと」LINE @yorisoi-chatチャット https://yorisoi-chat.jp/(月・金曜の午前6時~午後10時半、日・火・水・木・土曜の午前8時~午後10時半。受け付けは全日午後10時まで)NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア「こころのほっとチャット」LINE/Facebook @kokorohotchatチャット https://www.npo-tms.or.jp/public/kokoro_hotchat/(毎日の午前7時~午後11時50分、受け付けは午後11時まで)NPO法人あなたのいばしょチャット https://talkme.jp/(24時間対応)NPO法人BONDプロジェクト※10代、20代の女性のための相談を実施LINE @bondproject(月・水・金・土・日曜の午後2~10時、受け付けは午後9時半まで)メール hear@bondproject.jp(24時間受け付け)電話080・9501・5220(月・木曜の午後4~7時)#いのちSOS電話0120・061・338(24時間受け付け)いのちの電話電話0570・783・556(毎日の午前10時~午後10時)電話0120・783・556(毎日の午後4~9時。毎月10日は午前8時~翌11日午前8時)チャイルドライン※18歳までの子どものための電話電話0120・99・7777(毎日の午後4~9時。12月29日~1月3日は休み)チャット https://childline.or.jp/chat(月・火・水・木・金・土曜の午後4~9時、第4日曜日の午後4時~6時半。12月29日~1月3日は休み)「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。






