【社説】参院選の「合区」解消 制度論抜きの改憲先行は許されぬ2026年6月5日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●「緊急事態条項」と並び、参院選の「合区」解消が改憲の論点になっている●参院の選挙制度改革は、現行維持とブロック制の2案が議論されてきた●衆参の役割分担など根本の議論抜きに、現行維持を前提にした改憲は問題だ
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高市早苗首相が意欲を示す憲法改正について、衆院憲法審査会では「緊急事態条項」が焦点になっているが、参院では自民党内にも異論があり、参院選の「合区」解消をめぐる議論が先行している。 人口減少が進む地方の危機感は理解できるが、合区をなくすことと、それを改憲によって実現することは、次元の異なる問題ではないか。世論の理解が得やすいテーマを突破口にしようという「改憲ありき」の姿勢は許されない。 参院の選挙区は都道府県単位が基本だが、「一票の格差」を是正するため、2016年の選挙から、「鳥取・島根」「徳島・高知」がそれぞれ一つの選挙区となった。 だが、合区の選挙区では投票率が低くなる傾向があり、県単位での代表を求める声は強い。自民が18年にまとめた「改憲4項目」では、9条への自衛隊明記、緊急事態対応、教育の充実と並んで、合区の解消を打ち出した。 首相は今年の憲法記念日を前にした産経新聞のインタビューで、まず合区を取り上げ、「再来年が参院選の年ですので合区解消は急がなければなりません」と述べた。 5月末に公表された25年国勢調査の速報値では、人口減少と都市部への人口集中が続き、衆参両院で一票の格差の拡大が明らかになった。このままでは合区が増えるという懸念もあろう。 ただ、憲法47条は選挙区や投票方法など、選挙に関する事項は「法律でこれを定める」としている。参院憲法審査会で立憲民主党や公明党が、改憲ではなく、法改正で対応すべきだと主張しているのはもっともだ。 自民は、各都道府県から必ず1人以上を選出するよう憲法に明記するという。参院議員を「全国民の代表」から「地域の代表」に変え、一票の格差の問題が生じないようにする狙いがある。 二院制のあり方にかかわる重要な変更であり、衆参の役割分担や、国と地方の関係を含む統治機構全体を見渡した議論を抜きに決めていいものではない。 参院の選挙制度改革をめぐっては、与野党が協議を重ねてきた。合区解消の必要性では一致するものの、都道府県単位の現行制度の維持と、全国を10~11に分けるブロック制への変更の二案に分かれ、意見集約には至っていない。 合区解消を先行して憲法に書き込んでしまえば、それを前提にした制度しかつくれなくなる。民主主義の土台である選挙制度については、党派を超えた幅広い合意が必要なことを忘れてはいけない。参院自民、憲法改正の議連を設立 優先項目めぐって衆院と温度差「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







