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【社説PLUS】社説を読む、社説がわかる連載「社説PLUS」毎日のテーマに何を選び、どう主張し、誰にあてて訴えるのか。論説委員室では平日は毎日、およそ30人で議論し、総意として社説を仕上げています。記事の後半で、この社説ができるまでの議論の過程などをお届けします。 高市政権が殺傷能力のある武器輸出の全面解禁に踏み切りました。戦後の武器輸出をめぐる政策の大きな転換です。半世紀前、当時外相だった宮沢喜一・元首相は「我が国は兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれていない」と国会で答弁しました。 高市早苗首相は「時代が変わった」といい、政府与党は、日本周辺の安全保障環境が悪化し、「もはや日本一国だけで自国の存立を守り抜くことはできない」と、武器輸出政策の転換が、日本の抑止力強化につながると強調しています。 輸出による量産効果で兵器の調達コストも下がり、日本の防衛産業が潤って、「日本経済の好循環」をもたらす、とする経済的メリットの面からの主張も見受けられます。一見、説得力があるように思われる方も少なくないかもしれません。しかし、こうしたロジックは本当に正しいのでしょうか。【4月21日(火)社説】武器輸出政策の大転換 平和国家の理念、置き去りの懸念この社説ができるまで 論説主幹・佐藤武嗣 防衛費の大幅増、非核三原則の見直し、自衛隊幹部の階級について旧軍的呼称の復活の検討、そして殺傷兵器の海外輸出の解禁――。高市政権の安全保障政策は、戦争の反省や平和憲法によって、自衛隊の活動や兵器輸出にはめてきた「タガ」を外すことに血眼になっているように感じます。 それが本当に日本の抑止力強化、戦争の回避につながるのなら、検討の余地はあるかもしれません。しかし、「タガ」を外した後、日本は国際社会でどのような立ち位置を目指すのか、そのビジョンもなく、ただ「タガ」を外すことが目的化しているのだとしたら、それは危険です。 社説は、1日2本を掲載・配信することが多いのですが、大きなテーマを扱うときには、朝刊紙面に掲載する2本分のスペースを使った長行の「1本社説」で論を訴えます。社説検討会議では、日本の武器輸出政策の大きな転換点であることから、今回は「1本社説」で訴えることで一致しました。 殺傷兵器の海外輸出の全面解禁について、平和国家の倫理的側面のみならず、政府の主張が合理的なのかどうか、についても以下の通り議論しました。 《殺傷兵器の輸出解禁が抑止力強化になるのか》 小泉進次郎防衛相は、今回の兵器輸出政策の転換について「新たな戦争や紛争を決して起こさせない」ための措置だと主張しています。他国へ武器を供与することで、軍事的な威圧を強める国に対抗する力を、共に高めることができる、と訴えたいのでしょう。 しかし、他国への殺傷兵器の供与が、日本にとって常にプラスに働くとは限りません。輸出先がそれを使用して紛争を起こせば、供給国としての責任を問われるだけでなく、紛争当事国から報復の対象となる可能性があります。武器供給が周辺地域の軍拡競争を加速させ、日本の安全保障環境をかえって悪化させることもあり得ます。また、輸出した国の体制が変化し、供与した兵器が、第三国を経由するなどして敵対勢力に渡る懸念も拭えません。 こうしたリスクを避けるには、最低限、武器を輸出する前に、供与する相手国を慎重に選ぶことが必要です。また供与後に、その武器がどこにあり、どう使われているのか、追跡できる仕組みなしでは、先ほどの懸念が膨らみます。 今回の政府の決定では、これまで「防衛装備移転協定」を締約した米国や英国、豪州、フィリピンなど17カ国に輸出先を限るとし、国連憲章に適合した使用や、第三国移転への日本の事前同意を条件にしています。 ただ、イラン攻撃に踏み切った米国は、国内や欧州の国々からも国際法違反との指摘を受け、紛争の当事国となっています。では、いまの米国には武器供与はできないのか。政府方針では、戦闘中の国への輸出は原則認めないとしつつ、「特段の事情」があれば可能としていて、この条項が抜け道になる可能性があります。移転先の兵器の追跡の仕組みも十分とは言えず、武器供与が、日本にとってかえってマイナスに働く懸念は払拭(ふっしょく)できていません。 《国会には「事後報告」でいいのか》 社説でも指摘している通り…